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Writer's pictureRafu Shimpo

この国は…

 トランプ大統領のパリ協定離脱表明は、想定内とはいえ失望した。この国はこのままでいいのだろうかとの思いが日々募っている。移民政策、オバマケア撤廃法案などの米国内の問題にはまだ手立てがある、と思う。でも、地球温暖化となると地球上の全人類の未来、生命に関わる問題である。  パリ協定は「気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(合意)」である。2100年までに地球の平均気温の上昇は2℃未満に収めなければならない。その要因となる温室効果ガスの放出を減らそうという取り決めだ。CO2排出量世界一位は中国の28・3%、次いでアメリカは15・8%で、最も力を入れるべき大国の一つが「いちぬけ」したのだ。  すでに海面上昇や熱波、ハリケーンの大型化などの異常気象が世界各地で観測され始めているというのに…「ニューヨークは寒いし雪が降っている。われわれには温暖化が必要だ」「アメリカに罰則を与えるような協定だ!」一国の大統領がこんなレベルの認識だとは情けなくなる。  米国の離脱表明に、マクロン仏大統領は「アメリカ国民、地球の未来にとって間違いで失敗だ」と批判、オバマ氏は「この政権は、未来を拒否する一握りの国に加わった」と嘆く。全く同感だ。  日本の山本環境大臣は「やっとここまで来たという人類の英知に背を向けた決定に、失望」と、そして「2020年11月(正式な離脱)までに説得する」と続けたことにエールを送りたい。あの中国でさえ「国際的な責任を全うする、気候変動への対策は、全世界の要求だ」と宣言している。トランプ氏を北京のPM2・5のスモッグの中に放り込んでみたら変心するだろうか。  一筋の光明は、NYやカリフォルニアなど9州、全米125都市が共同で「連邦政府に代わって米国の温室効果ガス削減の責任を果たす」との声明を国連に提出したという報道だ。この取り組みは、ブルームバーグ前NY市長の呼び掛けで始まった。他に902の企業、投資家、183の大学が署名。企業ではアップル、グーグル、ナイキなどが名を連ねたと聞く。このうねりが米全土を動かすまでに育ってほしいと願う。【中島千絵】

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