Eatadakimasu:LAの「『パイ』オニア」に
人気ミュージカル「ハミルトン」にちなんだ「ヤミルトン」パイ(右から時計回りに)、リンゴをふんだんに使ったアップルパイ、ブルーベリーマフィン
日本にも進出のパイ専門店「The Pie Hole」
昨年日本にも進出したロサンゼルス発祥の人気パイ専門店「The Pie Hole Los Angeles(ザ・パイホール・ロサンゼルス)」。小東京のお隣アートディストリクトにある1号店をはじめ、現在米国で6店舗を展開する。俳優からロサンゼルスの人気店のオーナーへと転身した創業者のひとりリンジー・へフナーさんに、パイ作りのこだわりや日本進出について話を聞いた。【吉田純子、写真も】
創業者のリンジー・へフナーさんと夫のマット・へフナーさん(パイホール提供)
同店は2011年に創業。アートディストリクト店をはじめ米国ではハリウッド、パサデナ、グレンデール、オレンジ郡、ノースカロライナ州ダーラムの計6店舗ある。 パイホールはファミリービジネス。パイ店を開業するのはリンジーさんの夫マット・へフナーさんの母ベッキーさんの長年の夢だった。その夢を息子とその妻であるリンジーさんが引き継いだ。 「パイだけを売っている店がロサンゼルスにはほとんどなかったので良いアイデアだと思いました。パイなだけに『パイ』オニアになれたら嬉しい!」とユーモアたっぷりに話してくれたリンジーさん。開業する前は俳優で、レストラン経営は自身にとって大きなキャリアチェンジだった。
種類豊富なパイメニュー 人気テレビや舞台に影響受け
パイのレシピは義母のベッキーさんが考案したものがほとんど。人気のソルテッド・キャラメル・ピーカンパイや、秋メニュー定番のパンプキンパイは代々ファミリーに伝わるレシピ。
人気ナンバーワンのアールグレイパイ
同店の人気ナンバーワンはアールグレイパイ(7ドル)。英国が舞台の人気テレビシリーズ「ダウントン・アビー(Downton Abbey)」から影響を受けて考案されたパイで、英国風を意識し紅茶のアールグレーの風味を生かしたパイとなっている。 パイ生地の上にダークチョコレートと塩味が効いたピスタチオを敷き詰め、その上に紅茶の風味を生かしたホワイトチョコレートムースを重ね、トップには手作りのホイップクリームとピスタチオをちりばめた。 また現在ロサンゼルスで公演中の人気ミュージカル「ハミルトン」にあやかりその名も「ヤミルトン」パイを考案。ピューレ状にしたヤム芋にクリームチーズを合わせ、甘さ控えめで今秋人気のパイだという。 今秋店舗で販売しているのはシナモン、ペッパー、オレンジゼスト、バニラをチョコレートと合わせたメキシカンチョコレートパイのほか、シリアル・キラー・チーズケーキパイ、リンゴをふんだんに使ったアップルパイ、スモア・パイ、ソルテッド・ハニー・カスタードパイなど。 メニューは1年に4回変え、季節に合ったパイを提供。 甘いパイのほか、チキン・コーンブレッド・ポッドパイなど軽食用のパイも充実。カフェラテなど各種コーヒーメニューも取り揃えている。 パイ1切れの価格は5・5ドルから7ドル。9月はアートディストリクト店だけで甘いホールパイ2055個、軽食用パイは4042個の注文があったという。
初の海外進出は日本 新宿と銀座に2店舗展開
GINZA SIXにあるパイホール店舗
昨年日本にも進出を果たし、新宿駅に隣接するルミネ新宿に日本1号店、今春には観光客も訪れる銀座の新名所の商業施設「GINZA SIX」に2号店がオープンした。
「創業からまだ6年しか経っていないのですが、日本に進出し、日本の人々にもパイホールの味を知ってもらえてうれしい」とへフナーさん。
日本で事業展開を行っているのは飲食店の開発、運営を行う「エフ・エスプランニング」社。同社とライセンス契約を結んだ。「私たちのブランドを尊重し、パイホールの味を忠実に再現してくれるパートナーだと思った」と語る。
「日本は消費者の味覚がこえている。質のいいものを求める環境だからこそ、私たちが自分たちのクオリティーをマーケットに示す良い機会だと思った」と話す。東京は世界各国から人が来るため、世界中から訪れた人々にパイホールの味を知ってもらうチャンスにもなると思ったという。
店で提供するコーヒーにもこだわり、日本のコーヒー会社「UCC上島珈琲」と協力し、パイにあったコーヒーメニューも考案。LAの店舗でコーヒー部門のディレクターを務めるビアンカ・モリナさんも日本に赴き、最高のコーヒーを提供できるよう、日本のチームと試行錯誤を重ねたという徹底ぶり。
日本の店舗も盛況で、事業拡大も計画中だという。
人気ミュージカル「ハミルトン」にちなんだ「ヤミルトン」パイ(右から時計回りに)、リンゴをふんだんに使ったアップルパイ、ブルーベリーマフィン
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