「ニッポン!」と大声援送る:サポーター60人、日本代表を後押し
前半、1点目を奪い同点に追いつき、両手を突き上げて絶叫する日本サポーター
サッカーW杯H組の第2戦で、2―2で引き分けた日本―セネガルのテレビ応援観戦が24日午前8時からトーレンスで行われ、日本代表のレプリカジャージーなどに身を包んだ60人以上の日本サポーターが、開催国のロシアに向け、「ニッポン」と大声援を送り、母国選手の活躍を後押しした。
日本代表がピッチに姿を現す映像が流れると、キックオフが待ちきれない参加者から早くも拍手が起こった。君が代斉唱で心を一つにし、応援態勢を整えた。
19日の第1戦で、FIFAの世界ランク16位の強豪コロンビアを破り、W杯でアジア勢史上初という南米のチームを下して歴史的快挙を成し遂げ、波に乗る日本。だが、相手は同27位で、同組の前試合で同8位のポーランドに勝利した実力を持つ手強い相手で、簡単には勝たせてくれない。サポーターは、それを覚悟して応援に熱を入れた。
試合開始から「ニッポン!ニッポン!」の叫び声と拍手が鳴り響いた。サポーターはチャンスでは絶叫、逆に攻め込まれると「ディフェンス」と叫び、ピンチを切り抜けると、安堵の大きな拍手が起こった。
試合早々に先制を許すと、会場は悲鳴や「あー」という、ため息が飛び静まり返った。だが、果敢に攻める日本に懸命の応援を続けた。34分に同点に追いつくと、総立ちのサポーターは初対面でもハイファイブしたり、抱き合ったりし、試合会場さながらの歓喜に包まれた。前半を1―1で折り返した。
日本代表のサムライ・ブルーのジャージーに身を包み、応援するサポーター
後半は開始から日本が押し気味に試合を展開したが、追加点を奪われ1―2。その後は、得意のパスワークでボールをつなぎ、シュートを放つ。だが、クロスバーにはね除けられたり、ゴール数メートル前に出されたパスにうまく合わせることができない不運が続き、なかなか得点できず、「惜しい」「もうちょっとなのに」と、祈る思いのサポーター。リードされたまま試合終盤で、同点に追いつき、2―2で終了。貴重な勝ち点1を奪った。
参加者は「勝ちたかった」という悔しさの半面、「よく頑張った」「よく同点に持ち込んだ」と称賛の声が多く聞かれた。
この朝、4時半に起床してサンディエゴから息子の隼人君と2人で来た小川由美さんは、自宅のテレビの前で1人で大声で騒ぐと、息子が首を傾げることから「みんなで日本を応援したい」と参加した。地元のサッカーチームに所属する42歳の小川さんは、20代の若い選手に混じってプレーしているという。この日の試合について「日本は3回くらいシュートをミスしたので惜しかったが、最後まで粘って同点にもっていったのがすごかった」と振り返った。
格上セネガルに挑んだ日本について「身長差があったが、素早い動きで対等に戦い、日本のレベルの高さを感じた。日本代表の活躍が、日本の子供たちに夢を与え、日本のサッカーのレベルを押し上げることがうれしい」と喜び、「結束力があって、グループで守り、『侍』らしい振る舞いだった。日本人として誇りに思う」と述べた。
小川さんは、コロンビア戦で決勝ゴールを決めた同じ鹿児島出身の大迫選手の大ファン。次のポーランド戦に対し「大迫選手がゴールを決めて日本を勝利に導き、『大迫半端ないって』(大迫選手の流行語になりつつある)を大声で叫んで、泣いて喜びたい」と語った。
サンペドロに住む安田ミイナさんは、母の和さんらとともに参加した。小学校から高校までの9年間サッカーに打ち込み、2011年のW杯で世界女王となった「なでしこジャパン」に憧れた。この日の試合について「日本が勝ってもおかしくないほどいい試合だった。前回のワールドカップの時と比べ、日本はパスがすごくスムーズで、コントロールもよく、ずっと強くなった」とたたえた。劣勢の中でも同点に追いついたことに「それが日本の戦い方。すごくリスペクとしたい。次の試合で勝って、決勝トーナメントに進んでほしい」と期待を寄せた。
2―2の同点に追いつき、ゴールを決めたかのように会場を走り回って喜びを表現する石井さん
大画面テレビによる応援観戦は、日本人有名歌手の公演や夏祭りなど各種コミュニティーのイベントを企画・運営する「Bridge USA」社(石井義浩社長)が催した。石井さんによると、前回の日本戦は平日の深夜だったのでテレビ応援の企画は行わず、今回は日曜早朝のため「みんなで応援ができれば」と開いたという。日本代表の次のポーランド戦は28日(木)午前7時開始のため、同様のイベントは開かないが、日本が決勝トーナメントに進んだ場合で、試合開始が当地の都合のいい曜日と時間に会えば行うという。
石井さんは、会長を務める「日米サッカー協会」を今年4月に設立し、日系人ユース選手の育成を目的に大会を年に4回開き、日系社会人リーグをシーズンを通して運営する。地元チームとの交流も活発で、韓国系、ベトナム系、米国チームと試合し心を通わせる。東日本大震災の際は、韓国系チームと協力しチャリティー試合を催し、被災地にエールを送った。
石井さんは、選手としても50歳以上のチームに属しまた、ユースチームを指導しているという。今回の日本戦を振り返り「きっちりと落ち着いて、正確なプレーをし、想像よりもいい試合をしてくれた」と称賛した。1点目について「あれが日本の実力を物語っている。自分たちの攻撃パターンを持っていて、ちゃんと決められた。攻撃力を持ち始めたので、日本のサッカーが世界レベルになってきたことを証明した」と分析した。2点目は「本田が期待通りの活躍で入れてくれた」と唸り、追加点を許した際に本田をすぐさま投入し、引き分けに持ち込んだ指揮官の采配を絶賛し「西野監督は、これでまた株を上げた」と話した。
同社のテレビ観戦イベントの詳細は、電話310・532・5921。メール―
info@bridgeusa.com【永田潤、写真も】
2―2の同点ゴール直後に飛び上がって歓喜する日本サポーター
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