「佐賀の夕べ」で特産品紹介:地酒など輸入・販路拡大図る
「佐賀の夕べ」で大和酒造の酒で乾杯する(左から)堀之内総領事、北島・大和酒造社長、飯盛・佐賀県人会会長
「佐賀の夕べ」と題した同県の特産品を紹介する試食会が14日夜、ハンコックパークの総領事公邸で開かれた。イベントは、当地の食品流通業者や外食関係者などに対し、佐賀の豊かな自然の中で育まれた産品をPRし、輸出・販路拡大を図ることを目的としたもので、参加者約90人が地酒や高級牛肉などの料理を賞味した。
イベントは、総領事館と今年の「IWC(International Wine Challenge)」で金賞を受賞した大和酒造(本社佐賀市・北島恭一社長)が共催。あいさつに立った堀之内秀久総領事は、佐賀の特産物について「佐賀は、水がおいしいので、いいコメがとれ、おいしい日本酒が作られる」と強調。公邸内に展示した美しい伊万里焼の作品も見てほしい、と呼びかけた。
大和酒造のブースで試飲する参加者
離任間近だった総領事は同イベントが、公邸での最後のホストとなった。サビーン夫人とともに、参加者と記念撮影したり、談笑し2年間の思い出を振り返るなどし、名残を惜しんでいた。
料理は、日本最高峰ともいわれる佐賀牛に、そば、そうめん、お茶、白米、玄米、のり、ごまなどが振る舞われた。これら同県産の食材は、日本国内や国際コンクールで金賞を受賞するなど、品質と味は折り紙付き。試食は、好評を得た。
会場には各種の伊万里焼が展示されまた、南加佐賀県人会のメンバーによる生演奏が披露され、イベントに花を添えた。飯盛裕介・同県人会会長はスピーチで、参加者に佐賀の風土と主に食文化を紹介し「佐賀を訪れてください」と呼びかけた。佐賀産の日本酒については「自分が育った故郷大和町の酒が、ここロサンゼルスの店棚に並ぶことに興奮している」と述べた。
大和酒造は10代目北島社長によると、1640年創業の老舗。日本では、少子化と清酒の消費の落ち込みの影響を受け、多くの蔵元が活路を求め海外に売り込んでおり、大和も例外ではないという。
北島社長は北米市場を睨み、和食がユネスコの世界文化遺産に登録された3年前から調査を開始。今年、IWC金賞作品を引っさげ念願の米国進出を果たした。米市場には、価格と好みに合わせ、大吟醸、純米吟醸、純米の3種類を投入する。ニューヨークで発売間近とし、LAは9月ごろの入荷を予定しているという。
米市場での後発のハンディはあるものの、北島社長は「やっとアメリカに輸出することができた。アメリカは市場全体が伸びていて、人口も増えている」と意欲を見せ、新たな市場に切り込む。米国では、東北産の日本酒が高いシェアを占めることを認識しており「東北の端麗辛口に対し、佐賀は温暖な気候のため、甘くて味わい深いお酒ができる。ワインに近い味なので、アメリカ人に喜んでもらえると思う」と、自信を示す。「日本食に限らず世界の料理に合うので、奥の深い麹の食、酒文化を味わってもらいたい」と願う。【永田潤、写真も】
伊万里焼を鑑賞する参加者
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