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Writer's pictureRafu Shimpo

「敬老」は誰のもの?

 「敬老シニアヘルスケア」はいま起きていることをどう受け止めているのだろう。ただ単にいい迷惑と思っているのか、さすがに驚いて、今までの日系社会との接し方について反省している…なんてことはなさそうな雰囲気だが。  反対運動が起きるのには、それなりの理由がある。もし、今の状況から何も学ばずにいるのならば、売却後も非営利団体として残るという「敬老」はコミュニティーの信頼を失ったまま、新しいヘルスプログラムもうまくいかず、寄付金も集まらず、いずれ売却金4100万ドルとともにどこかに散ってなくなってしまうのではないだろうか。  「敬老は誰のものなのか」―この点で敬老側とコミュニティー側に大きな認識の違いがあると思う。  敬老の姿勢は…非営利団体であってもこれはあくまでビジネス、敬老は自分のもの。売却するかどうかは自分たちで判断して、結論が出てから、居住者、その家族、スタッフ、ボランティア、大口の寄付者といったような「内輪」の人たちを中心に、やんわりと話をすればよい。  彼らの意見も、コミュニティーからの意見も聞く必要はない。特に反対派は敬老に関わったことのない人も多いし、彼らには関係のないこと。いろいろ知りたければウエブサイトなどに情報はあるから自分で調べればいい、というやや上から目線。  一方、反対派は「敬老は日系社会の大切な財産」だと考えている。  だから、売却ありきではなく、敬老と対等な立場で一緒に話しあい、議論し、他の選択肢も含めて最善の対応を考えていきたかった。  日系社会を構成するすべての人たち、日系人も日本語を中心に話す幅広い年齢層の戦後移住者たちも関係者でありえるのだから、敬老の将来に関する対話のプロセスを省かれたことに大きな怒りを募らせている。  その結果、静かな日系社会から突然大きな反対運動が起きた。政治家たちも積極的に協力し、州司法当局と反対派との話しあいも実現したばかり。  もうすぐ当局から返事がくる予定だが、少し遅れているようだ。これは、状勢が動く兆しかもしれない。【中西奈緒】

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