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Writer's pictureRafu Shimpo

「知足者富」本当の豊かさ

 もうすぐ感謝祭。感謝祭の日はターキーを食べ、家族水入らずの時間を過ごすのがアメリカの定番だ。しかし家族との団らんより、翌日のブラックフライデーのセールに関心がいってしまっている人も多いのではなかろうか。電化製品や洋服などすべてが大幅に安くなるのだから、年に1度のチャンスを逃すまいと必死になるのも当然だ。  ブラックフライデーなど気にせず、欲しい物を欲しい時に好きなだけ手に入れることができたら苦労はしないのだろうけれど、なかなかそうはいかないのが現実だ。  最新の調査結果によると、「豊かさ」の定義について聞いてみると、もっとも多い答えが「大金を持っていること」だったという。次に多かったのが「常に快適に人生を楽しめること」、次いで「物欲を満たし欲しいものをいつでも購入できること」「ストレス無く生活できること」「家族や友人、恋人との円満な関係」「安定した生活」「幸福でいること」「健康」「自由と自立を感じられること」がそれぞれ後に続いた。さらに回答者のほとんどが自宅や車をアップグレードすることでより豊かさを感じられると答えたという。  中国の春秋戦国時代の哲学者・老子ははるか昔、こんな言葉を残している。「知足者富(足るを知る者は富む)」。満足することを知っている者は、心豊かに幸福でいることができるという意味。いくら大金をもっていても心が幸せでないと豊かにはなれないということだ。昔の賢人は良い言葉を残しているものだ。  世の中は早くもブラックフライデー商戦でもちきりだが、そもそも感謝祭の起源は1620年までさかのぼる。当時イギリスから米国にわたってきた清教徒が新天地での厳しい冬の寒さと食料不足でその多くが亡くなる中、彼らを助けてくれたのが先住民だった。彼らは厳しい冬を越すための知恵を教え、そのおかげで清教徒たちは生きのびることができたという。そんな先住民に感謝の気持ちを現すため祝宴を開いたのが感謝祭の始まりだったという。  セール商戦を尻目に、感謝祭を前にして家族や自分を支えてくれる人、健康、身の回りの環境すべてに感謝し、本当の豊かさについて考えてみたいと思う。【吉田純子】

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