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Writer's pictureRafu Shimpo

おもてなし

 世界のあちこちで日本流「おもてなし」がはやっているそうな。僕にとって「おもてなし!」と大上段に言われると、それなんだっけ、食べられるの?となりそうな気がする。僕ら古い人間ならば日本の「おもてなし」は当たり前のこととして受け入れ、受ける側もその「おもてなし」の範囲で楽しむことが出来る。本来「おもてなし」は受けるものであり、要求するものではないというふうに理解しているから。  まわりからそういった教育(?)を受けてこなかった現代の若い人たちや、「日本流おもてなし」を求めて日本旅行をする他の国の人たち。彼らにとって「おもてなし」は「タダ(料金に入っていない)でもらえるサービスで、なんでも要求できる」というイメージを持っていやしないだろうか。  サービス業には、お客は「わがまま」だから無理難題を言ってくる、だからそれ以上のサービスをすることでより楽しんでいただく、という意識が強い。逆に言うとお客は何を言ってもかなえてくれる、と勘違いすることになる。また、そういったお客たちの風評におびえ、いやいや笑顔で接待しなければならないお店の人はかわいそうだと思う。根本的なものは同じでも高級料亭の「値段無視」のおもてなしと一膳飯屋の「腹いっぱい」のおもてなしも同一視はできない。  大事が起こった時の一般の日本人の反応や態度は世界が驚嘆するほど素晴らしい。もちろん「恥を知る文化」もあるが「おもてなし」の裏返しのような気もする。いつもどこかでなんらかの「おもてなし」をし、受けているから気配りが出来る。列を乱さない、落ちた商品を棚に戻す、商店を破壊して強奪などしない。僕らにとって当たり前のようなことだけど「おもてなし」を強要する人たちには無理な行動じゃないかな。  日本のよさを広げるためと称して安易に「おもてなし」を連呼する日本の政治家たち、彼らの中にある「おもてなし」とは何だろう。  高級料亭での上げ膳据え膳を「おもてなし」とするか、喉が渇いた時に出される湯飲み一杯のお茶を「おもてなし」とするか。あくまでも受ける側の気の持ちようのような気がする。【徳永憲治】

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