みんなに「チャレッソ」
華やかに幕を開けた冬季五輪。楽しみにしていた開会式はもちろん、日本選手団の入場行進だ。テレビにかじりつき、まだか、まだかと待ちわびた。「ジャパン」と紹介され、選手たちが登場、安倍首相がアップで映し出された。気分は最高潮に達したが突如、暗転する。コメンテーターが、よからぬことを喋ってしまったのだ。 「1910年から45年まで日本が韓国を統治した」と。さらに「韓国人の誰もが、日本を文化的、技術的、経済的に手本とし、自国の発展に重要であったと分かるだろう」。言うまでもなく、自尊心の強い韓国民の逆鱗に触れ非難を浴び、職を追われた。 行進のトリは、もちろんホスト国。ここでもがっかり。韓国の太極旗は見られず、あまりにも政治色が濃く、朝鮮半島を描いた統一旗は絵に書いた餅に感じた。五輪後に戦争が起こらず、今回の融和から真の平和につなげてほしい。 さて、本題の日本選手の金メダリストの話題にようやく入る。フィギュアの羽生は、五輪前に大怪我を負ったため、大会には出ずリハビリに徹し、本番はまさにぶっつけだった。ハラハラさせたが、美技を次々と決め、ライバルを圧倒。66年ぶりという連覇の快挙を成し遂げた。日本人が金銀をとり、日の丸を広げた勇姿に胸のすく思いがした。米代表の未来ちゃんは地元に凱旋し、可愛らしい未来スマイルで団体でとった銅メダルを披露してくれるのが楽しみ。 スピードスケート500メートルで女王に輝いた日本選手団の主将小平。2度の五輪で12位、5位からの躍進は、世界記録保持者で五輪3連覇を狙った韓国選手とのライバル関係があったからこそだという。2人は合同練習のみならず、私生活では互いの自宅に寝泊まりする仲。レース終了後、小平は、母国開催の重圧から解放され、感涙にむせぶ大親友に寄り添い韓国語で「チャレッソ(よくやったね)」と健闘をたたえた。抱き合って掲げた日韓両国の国旗が、これほど輝いて見えたことはなかった。 五輪選手はみな金メダルを目指す。だが、勝者はたった1人。勝負は残酷だ、とつくづく思った。感動を与えてくれた全選手をたたえたい。覚えたてのハングル語で「チャレッソ」。みんなよくやった。【永田 潤】
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