アウトドアの経験豊富な吉田太郎さん:憧れのボストンマラソン出場へ
50キロのレース「バンディット・トレイルラン」で力走する吉田さん
昨年のセントジョージ・マラソンで自己記録を更新し、完走のメダルを披露する吉田さん
マラソンに加え、登山、トレイルラン、自転車、トライアスロンという多種のアウトドアをこなす吉田太郎(45)さんは、3年前に初マラソンを走った思い出のロサンゼルスマラソンに臨む。昨年は3時間15分という好タイムを記録したことで、世界六大マラソンの1つでランナーにとって憧れのボストンマラソンの出場資格を晴れて得、4月に「メジャー」デビューを果たす。【永田 潤】
中学時代は陸上部に属し、1500、3000メートルの中距離選手で、地元名古屋市の大会では入賞する速さだった。高校に進学してからランニングとは無縁だったが、4年前に友人から「LAマラソンに出よう」と誘われ、元々走るのが好きだったため再開した。
初マラソンで3時間36分という好タイムを出し、その後も自己記録を更新、アウトドアの豊富な経験が生きている。
渡米後にロード、マウンテン両バイクを保有し、自転車歴は約20年。100マイルやクロスカントリーなど、得意とする長距離レースに出ている。登山は、近郊のバルディーなどのトレイルを巡り、ホイットニーなどの高い山へは3日かけて、テントを入れた大きなバックパックを背負って険しい山道を上る。富士山は「弾丸登山」で、わずか10時間で走破。このようにし、身長5フィート10インチ、体重140パウンドというスリムな体形と体力を維持している。
2014年のLAマラソンに参加し、小東京の1街で沿道の声援に応えて手を振って走る吉田さん。帽子には、小型カメラが取り付けられている
週に2、3日という練習は、1回に5キロから10キロをこなす。平日は1人でモントレーパークの自宅近くを、週末は日系のランニング同好会の仲間とグリフィスパーク内やローズボールの外周を走る。大会前には、30キロの長距離練習も行い「ゆっくりと、長く」を心がけている。 出走5回のマラソンのベストタイムは3時間15分。目標を「あと1、2年で3時間を切ること」と定める。「そのためには、練習方法を変えなければならない」といい、同好会の仲間から走法やペース配分、コンディショニングなどを教えられ、短い距離を何本も早く走る「スピード練習」を取り入れた。1時間29分台の記録を持つハーフのスピードを、フルで最後まで持続すれば3時間を切る計算ができ「スピードと持久力をいかにつけるか」が課題だ。 ランニングの醍醐味は「設定したタイムに挑戦すること。頑張って練習して、目標タイムを破るのは、ゲームみたいな楽しさがある」と語る。トライアスロン(五輪種目と同じ距離)には、2度チャレンジ。いつかは「アイアンマン(フルトライアスロン)に出たい」と、常に高い目標を定め「ゲーム」を楽しむ。
「自己ベストを更新したい」
走りながらランニング仲間を撮影
LAマラソン
ロサンゼルスマラソンを完走し、笑顔の吉田さん
14日に開かれるロサンゼルスマラソンは、吉田さんにとって3年前に初マラソンを経験した原点の大会である。成長を確かめる機会であり「自己ベストタイムを更新したい」と意気込む。さらに「地元なので、気の合うランニング仲間と一緒に走ることができる」と、心待ちにする。 当日は、混雑する後方からあえてスタートするのは、後から追い上げて仲間の走りを写真と動画で撮影するためだ。スポーツ撮影用の小型アクションカメラを帽子に装着し、タイムロスを覚悟の上で、仲間を見つけて撮ることを繰り返す。 「ランニングは単調なので、走っている時は練習もレースも景色を見ることが楽しみ」と語る。カナダ・バンクーバーの美しい港町、ユタ州セントジョージでは山々の自然の緑に魅せられ、心地よく走った。ロサンゼルスは「ドジャースタジアムから始まって、ダウンタウン、チャイナタウン、ハリウッド、チャイニーズシアター、ロデオドライブ、最後のサンタモニカまで、名所を通るので飽きないのがいい」。「沿道の応援してくれる人たちは途切れなくて、ワイワイ盛り上げてくれる」といい、声援を力に変える。
Comments