アジア・太平洋系月間:カレンダーブック表紙に清水氏の写真
自身が撮影した写真が表紙に選ばれたカレンダーブックを手にする清水一路氏
5月はアジア・太平洋系米国人の文化継承を目的に制定された「アジア・太平洋系米国人の文化遺産継承月間 (Asian Pacific American Heritage Month)」だ。ロサンゼルス市は毎年、この期間に市内で行われるアジア・太平洋系の文化・芸術イベントの案内情報を掲載したカレンダーブックを発行している。今年はその表紙に羅府新報社英語部グラフィックデザイナーの清水一路氏が撮影した写真が選ばれた。【吉田純子、写真も】
過去数年にわたり清水氏が撮影した写真はカレンダーブックに掲載されてきた。毎年数点が掲載されてきたが表紙に選ばれたのは今年が初めて。 カレンダーブックにはイベント情報とともに、LAで活動するアジア・太平洋系アーティストたちの写真や絵画などが掲載されている。 今年のテーマは「We Are LA」。LAではビジネスやテクノロジー、コミュニティーサービス、レストランなどの食文化、音楽などエンターテインメントの分野に至るまで、アジア・太平洋系の人々が古くから活躍している。こうしたさまざまな文化が共存し、多様性がちりばめられているのもLAらしい一面である。 表紙に選ばれた清水氏の写真は、色とりどりのカラーパウダーを浴びながら5キロメートルのコースを楽しく走るイベント「The Color Run LA」に参加した際に撮影した。同じ髪型に花の髪飾り、揃いのハート型のサングラスをかけ、色鮮やかなパウダーを浴びてコースを完走した3人の女の子の姿を捉えた。 「3人がまったく同じ格好というのが『面白いな』と思いシャッターを切りました」 今年カレンダーブックに掲載された清水氏の写真は計10点。「普段のなにげない街の様子やちょっと目に留まった風景を写真に収めています」。清水氏にとって被写体は、日常生活の中にどこにでも潜んでいる。その時々に「面白い」と思った感覚を頼りにしているという。 「普段見慣れた景色の中にも視点を変えることによってさまざまな見方ができる。その発見が面白い。これからもそうした発見を大切にしていきたいです」と今後の創作活動の目標を語ってくれた。 昨年11月に日本に一時帰国した際には、90歳になる母から「おまえはLAで1番の写真家になる」と激励されたという。それから間もなくして写真がカレンダーブックの表紙に選ばれた。今回の吉報に「日本にいる母もきっと喜んでくれると思います」と話し、遠く離れた故郷の母に思いを馳せた。 文化遺産継承月間には毎年、その年に活躍したアジア・太平洋系の人物や団体が表彰される。今年はLA地区のアジア・太平洋系の低所得者や移民、難民問題などに取り組むコミュニティー団体「A3PCON(Asian Pacific Policy & Planning Council)ほか、5つの団体と人物が表彰された。4月22日にLA市庁舎で行われた表彰式にはA3PCONで政策調査役を務める日系人のマイク・マサオカ氏も出席した。 アジア・太平洋系だけでなくアフリカ系(2月)やレズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー(6月)、ラテン系(9月)、ネイティブ・アメリカン(11月)の人々のための文化遺産継承月間も設けられている。
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