アフリカ遺児支援
「人からタダで950億円もかき集めた、すごいおじさんがいる」-ロッキード事件で田中角栄・元首相を起訴した堀田力・元東京地検特捜部検事がコラムに書いている(京都新聞社会福祉事業団「ふれあい福祉」)。「あしなが育英会」の総元締め、玉井義臣さん(81)のことだ。 母親を交通事故で失ったのを機に交通遺児救済運動を起こした玉井さん。思いついたのは、交通遺児たちを街頭に送り出して全国規模で行う募金キャンペーンだった。その一方で、草の根市民に匿名の「あしながさん」になってもらい、定期的に寄付してもらう仕組みを作った。名前の由来は、むろん、米女流作家、J・ウェブスターの「あしながおじさん」。孤児院で育った女の子の学費を出す匿名資産家の話だ。 集めた950億ドルは全額、遺児たちの高校や大学の進学支援に使われてきた。50年の間に9万5000人がその恩恵を受けた。交通遺児から災害遺児やエイズで両親を失ったウガンダの遺児、貧困にあえぐアフリカ・サブサハラの孤児へと支援対象は広がった。 14年、「最貧地域」とされるアフリカ49カ国から優秀な遺児を選抜し、欧米の大学で学ばせる「アフリカ高等教育遺児100年構想」を打ち上げた。彼らに欧米の高等教育を受けさせる。それを「武器」に母国の貧困を撲滅し、政治経済を一流のものにさせる。そのために働く人材を育成するプロジェクトだ。すでに33人が欧米留学中だ。 15年10月、玉井さんに人権や教育の分野で貢献した人に授与される「エレノア・ルーズベルト・バルキル勲章」が贈られた。「人間の尊厳を守る地道な活動」が高く評価されたのだ。 玉井さんは昨年10月、ワシントンに米国法人「Ashinaga Inc.」を設立。ここを拠点に世界中の団体や企業、富裕層にも草の根の人たちにも「100年構想」促進のための協力を呼びかける。米西海岸事務所開設も視野に入れている。 その「すごいおじさん」が7月17日から数日ロサンゼルスに滞在する。持病をかかえて移動には車椅子が欠かせない。が、年に数回は海外の要人に会うために出張する玉井さんにとってはどうということはない。「玉井スピリット」に燃える若い同志数人が、まさに「黄門様」の「助さん、格さん」よろしく、手足となって支えているからだ。【高濱 賛】
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