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Writer's pictureRafu Shimpo

イズミダイ活用法

 先日、「ホーレンソウが心臓に」の話を家でしていたら、娘が「こんなのもあるよ」と、教えてくれたのがイズミダイ(ティラピア)の皮を利用して人間のやけどの治療をするというもの。ググってみたら写真が載っていた。半魚人かと思った。  通常の治療は患部にガーゼなどを当て何度も取り換えるのだが、はがす時は毎回結構痛く治りも遅いそうだ。で、このイズミダイの治療方法は、皮(それなりに清潔な状態で準備したもの)を短冊状にし患部に巻いていくわけだが、そのまま10日ほど剥がさずに巻いたままにしておくと痛みも和らぎ治癒も速いという。  やけどの程度にもよるが、2~3度程度のやけどなら治療できるそうだ。  なにがいいかというと、人間と同じ程度の水分含有量、治癒・修復に必要なコラーゲンが豊富、皮に伸縮性があるため貼り付けた後も傷に負担がかからない、費用も抑えられる―など。  イズミダイは戦後の食糧危機においてたんぱく源として養殖・流通させようとしたらしい。名前に「タイ」という言葉がついているが淡水魚でナイルティラピアの流通名。クロダイにも似ているので付いた名前だとか。ただ、あまり養殖に力が入っていなかったようで価格的には少々高めだったようだ。  現在は日本では鯛そのものが広く養殖されるようになり価格的にも安くなったためイズミダイは需要が減っているもよう。こちらに来るまでそんな魚がいること自体知らなかった。  アジアでは養殖・流通がさかんなようだ。1960年代、タイの食糧事情が厳しいおり当時の皇太子(今上天皇)がティラピアの養殖を提案、現在も広く食されている。タイでは華僑により明仁親王の仁をとって「仁魚」という漢字が当てられているとか。  台湾では養殖が盛んで世界に輸出しているらしい。中国では一般的な食材として流通。揚物、蒸し物、煮物などに利用されている。優秀な適応力は養殖にも最適とか。  いい事だらけかというと、気性が荒く他の魚を執拗に攻撃する、雑食性で何でも食べるため繁殖力もある、多量に導入された時に河川に流れ出て定着し在来種を駆逐する―という生態系に深刻な圧迫をもたらしている。  僕としてはやけどにならないように気を付け、おいしくいただくほうがいいな。【徳永憲治】

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