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Writer's pictureRafu Shimpo

エンブレム

 2020東京オリンピックのエンブレム騒ぎは作り直しとなったが、今回一連の報道を見ていて別の角度から馬鹿馬鹿しく腹が立ったのは、日本語を持つ日本国でなぜエンブレムという英語を使わなければならないのかということ。徽章とか紋章とか象徴か元々ある日本語では、なぜいけないのか? 大体日本国民の大多数はエンブレムの語が何か知らない、が恥でもない。  さらにエンブレムの図案募集の要項に求める条件が、  ①クリエーティビティー  ②イノベーティブ  だそうだ。全く情けない。これも日本で一般国民が普通に理解も使用もしていないし普及もしていないカタカナ英語だ。つくづく日本人の西洋コンプレックスの根深さを感じる。  創造性、革新的、あるいは斬新、新機的など元々ドンピシャの立派な日本語があるのだからそれを使えばいいのではないのか? 英語国の植民地じゃあるまいし。  英文資料なら英語でいいし、ドイツ語資料ならドイツ語でいい。だが英文資料の中に創造性という日本語が使われる事はない。同じくなぜ日本語文中にわざわざ英単語を使って嬉しいのか。  よく日本語の話の中にやたら英単語をちりばめて得意そうな人がいるが実際は軽薄に見えるだけで、英語通と見せたいなら全部完璧な英語で話したり書いたらどうかと言えば実際は話せない、ましてや正しい文など書けない。  仮に英語の文中に日本語をちりばめたら世界の誰が理解する? 日本語と外国語をきちんと身につけている人は英語を話す時は英語一本、これは当たり前。同様に日本語の時は日本語で話すのが当たり前。前記オリンピックの諸例は当たり前でなく愚かで情けない。  実際には現代日本語ではやまと言葉だけでは話せなくなっており、中華渡来や和製の漢語、あるいは外来カタカナ語が日本語化して使われるのは事実。きまりを守れ、規則だ、ルールだ、という具合。  文化良識の問題だがそれをイノベーティブだ、政治の世界などでマニフェストなど言い出しているのは愚かな事だ。日本語が死んでいく。日本語を廃止して英語にしようというなら別だが、日本文化の最も根幹の日本語を大事に守り育てるなら、もう少し賢くならねばならない。  日本人が日本語を大事にしなくて誰がしてくれるのか。【半田俊夫】

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