オバマ大統領:ジカ熱対策に5億ドル超
オバマ政権は12日、エボラ出血熱の対策費用として用意されていた未使用分およそ5億8900万ドルをジカ熱対策として転用すると発表した
蚊が媒介する感染症で、発熱や発疹など、はしかに似た症状を引き起こすジカ熱の感染が全米各地でも確認されていることを受け、ホワイトハウスは12日、全米での感染拡大を防ぐため、エボラ出血熱の対策費用として用意されていた未使用分およそ5億8900万ドルをジカ熱対策として転用すると発表した。【吉田純子】
これまでジカ熱用の緊急捻出金は設けられていなかった。しかし夏の気温上昇に伴い、ジカ熱が米国に上陸する事態に備え、エボラ出血熱用の対策費用が転用されることになった。
ジカ熱は昨年ブラジルで大流行し、現在では米国をはじめ世界各国で感染が確認されている。感染すると1週間ほどの潜伏期間の後、発熱や下痢、関節痛などの症状が現れるが、5日ほどで治癒するという。感染しても80%の人には症状が現れないという。
ブラジルではジカ熱の流行時期と重なる昨年10月から、先天的に頭部が小さく、脳の発育不全を伴う小頭症の新生児がおよそ4千人確認されており、ジカ熱と小頭症の関連性が指摘されていた。
今回の5億8900万ドルは疾病対策センター(CDC)でのジカ熱ウイルスや先天性障害の研究のほか、感染拡大を阻止するための費用に充てられる。米国立衛生研究所は引き続き、ワクチンの研究開発に取り組んでいく。
保健福祉省のシルビア・バーウェル長官によると全米では672件のジカ熱感染が報告されており、うち64人が妊婦だったという。患者の多くが南米やカリブ諸島などジカ熱流行国に渡航経験があり、渡航先で感染した可能性が高いとみられている。また性交渉による人から人への感染も確認されている。
オバマ大統領は今年2月にジカ熱対策を強化するため、19億ドルの緊急捻出金を議会に求めていた。
CDCによると、全米で感染者がもっとも多いのがフロリダ州で78件。次いでニューヨーク州55件、カリフォルニア州29件、テキサス州27件と続く。
CDCが発表したジカ熱を媒介する蚊の発生が懸念される全米50都市の図。ロサンゼルスも発生率は低いと分類されているものの50都市のひとつに含まれている
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