ガス漏出事故:施設の閉鎖求め抗議デモ
施設周辺の住民の自宅内部から異金属が検出されたポーターランチ。住宅地の後方に見えるのが天然ガス貯蔵施設があるサンタ・スサナ・マウンテン
ロサンゼルス北部ポーターランチにあるアリソ・キャニオンの南カリフォルニア・ガス・カンパニー(SoCalGas Co)の天然ガス貯蔵施設から、4カ月近くにわたり大量のメタンガスが漏出した問題で15日、施設周辺の住民や環境問題の活動家らが施設前に集結し、施設の閉鎖を求める抗議デモを開催した。【吉田純子、写真も】
昨年10月23日の事故発生後、施設周辺の住民からは鼻血や頭痛などの健康被害が相次ぎ、ガス会社が費用を負担する中、多くの住民がホテルやレントハウスなどに転居し、避難生活を送っていた。この事故で10万7千トンのメタンガスが大気中に放出され、米史上最大のメタンガス漏出事故となった またこのほど発表されたロサンゼルス郡公衆衛生局の検査結果によると、施設周辺の住民宅からバリウムやバナジウム、マンガンなど微量の異金属が検出され、同局は原因はガス漏出事故の可能性が高いとの認識を示している。 今月10日には、カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事が、施設内のガス貯蔵施設でより厳格な検査を実施し、安全性が確認されるまで、新たなガスの注入を停止する法案に署名。エネルギー省の科学者が施設敷地内の老朽化が懸念される114のガス貯蔵井戸のガス漏出の危険性の有無を調査し、安全性が確認されるまで、新たな天然ガスの注入は禁止される内容となっている。 しかし、今も健康被害を訴えている住民がいる中、住民側は今回の措置だけでは不十分と指摘。施設全体の閉鎖を求めている。 今年2月18日に漏出の停止が発表されたが、その後も健康被害を訴える住民の声は後を絶たない。ポーターランチに30年以上前から住む山口弘・淑子さん夫妻も今年1月から転居先での避難生活を開始した。「ガス漏出が停止したと発表があった後も、自宅に帰ると私は頭痛、主人は鼻血が出るといった状態が続いています」と淑子さんは話す。 ガス会社側との転居サービスの契約は4月末で終了したため、今はガス会社の補助なしに転居先と自宅を往復する毎日だ。「老朽化した井戸がいくつもあり、またいつ同じような事故が起こるか分かりません。本当にきちんと検査されているのか心配です」と不安な胸の内を明かした。
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