ガス漏出事故:環境問題専門家のデイモン・ナガミ氏に今後の課題聞く
漏出事故の環境への影響などを話してくれたナガミ氏
ガスの漏出が停止したと発表された18日、自然保護活動や再生可能エネルギーの促進運動を行う環境保護団体「自然資源防衛協議会(NRDC)」のメンバーで南カリフォルニア・エコシステム・プロジェクト代表のデイモン・ナガミ氏に、4カ月近く続いた今回のガス漏出事故の環境への影響や、ガス貯蔵施設に関する今後の課題など話を聞いた。【取材=吉田純子、写真も】
今回のガス漏出事故はポーターランチの住民だけでなく、カリフォルニア州の環境にも影響を及ぼした。メタンガスは地球温暖化効果が高い。よって大気への影響も今後懸念される問題となってくると同氏は警鐘を鳴らす。加州政府はガス会社に対し、今回の事故で大量のメタンガスが大気中に放出されたことに対する責任を追及すべきだと指摘した。 漏出した物質の中にはメタンガスのほか、メルカプタンやベンジン、トルエン、キシレンなど大量に大気中に放出されると健康被害の危険性も指摘されている物質も検出されていることについて「こうした物質が今回の事故で長期にわたって漏出したことによって、今後どのような健康被害が住民にもたらされるか現段階では分かりません。当然、健康面へのリスクがどれだけあるのか当局がきちんと調査し住民に知らせるべきです」と力を込める。 ナガミ氏は環境問題専門家であると同時に弁護士でもある。今回の事故を受け加州の規制の甘さも指摘し、問題のガス井を封じられたのは最初のステップにすぎないと訴える。「ポーターランチの住民は今回のような惨事が2度と起こらないことを望んでおり、多くの住民が施設全体の閉鎖を求めています。現在の規制ではこうした事故を防ぐのに十分な基準が設けられているとは言えません。われわれはその規制強化に向け働きかけています。カリフォルニア州の貯蔵施設に関する規制は非常に弱い。今回事故が発生したSoCalGasの施設だけでなく、加州全体のガス貯蔵施設に対する規制を厳しくする必要性があると思います」と話した。
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