テリー・ハラ実行委員長:「世代、人種を超えて」特別な祭りに
第75回二世週祭の実行委員長のテリー・ハラ氏
75回目の記念すべき年を迎えた二世週祭。今年、実行委員長を務めるのは、ロサンゼルス市警察(LAPD)でアジア系として初めて副本部長にまで昇格し、今年3月に退職した日系3世のテリー・ハラ氏だ。2009年にも実行委員長を務め、今回が2度目。今年のテーマ「Let the Good Time Roll(ずっと楽しく)」にふさわしく、世代、人種を超えて楽しめる特別な祭りにしたいと意気込む。同氏に今年の見どころや、二世週祭にかける思いなど話を聞いた。【吉田純子、写真も】
テーマは「ずっと楽しく」
「二世週祭の名前にもなっている日系2世の多くが90歳代を迎える中、彼らとともに75周年を祝えるのは特別な意味がある。100周年を迎える時、2世、3世、4世、5世すべてが揃うことは不可能だろう。今まさに世代を超えて祭りに参加できる時なのです」 さかのぼること戦前の1934年、初めて二世週祭が行われた時、当時の若かりし2世たちは、日系人を小東京に集め、ビジネスの活性化に励み、パレードや音頭ダンスではともに踊り、日系人としての誇りを確認しあった。今もその思いは変わることなく、「ずっと楽しく」祭りは続けられてきた。 今年2月、ハラ氏は脳卒中を発症。奇跡的に一命をとりとめた同氏にとって、今年のテーマへの思いはひとしおだという。「もし発見が遅れていたら、今どうなっていたか分かりません。私は本当にラッキーでした。今を生きること、人生を楽しむことの素晴らしさを実感する毎日です。『ずっと楽しく』はまさにそんな私にとっても心に響く永遠のテーマなのです」
新一世の登場で祭りにも変化
長い歳月の中で、時代とともに二世週祭も変化を遂げていった。七夕まつりや、ギョウザ早食い競争、ベビーショー、自動車ショーなど、新しいイベントも増えていった。 新一世の登場も二世週祭に変化をもたらした。七夕まつりでは日本語を母国語とする新一世の団体が、積極的に運営に携わり支援してくれたという。 「七夕飾りを作る時、日系人と新一世が一緒になって飾りを作るのを楽しんでいました。たとえ言葉が通じなくても、『美しい物を作りたい』と思う気持ちは同じ。言葉は必要ありませんでした。同じ文化を共有し、共同作業を通して団結心が生まれ、言葉の壁は消えていったのです」 成果は実り、七夕まつりでは毎年200本近くの七夕飾りが小東京を鮮やかに彩り、二世週祭の新名物となった。
支えてくれる人々
祭りを運営しているのはすべてボランティアスタッフ。開催当時から変わることなく、コミュニティーの人々が祭りを陰で支えている。当初、1世、2世が参加していた祭りも、今ではその子どもたちの3世、4世の世代が運営をサポートしている。 3世以降になると、日本文化を知らない日系人も多い。しかし、たとえ日本文化を知らなくても、ひとたび音頭ダンスが始まれば、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒になって見よう見まねで踊りだす。「世代を超えて楽しむ、そんなほほえましい光景が二世週祭では見られるのです。私はその姿を見ることを子どもの頃から楽しみにしてきました」 今年の見どころ
今年は東北6県の代表的な祭りである青森ねぶた祭、盛岡さんさ踊り、仙台七夕まつり、秋田竿燈まつり、山形花笠まつり、福島わらじ祭りを一堂に集めた「東北六魂祭」が二世週祭に加わる。 東北六魂祭は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の鎮魂と被災地復興祈願のため同年夏に日本で始まった祭りで、東北6県都で毎年、持ち回りで開催されている。15、16日の七夕まつりでワークショップが行われるほか、16日にはアラタニ劇場でも披露される。 16日のグランドパレードでは2007年以来の大きなねぶたが登場する。「前回の衝撃は忘れられません。ロサンゼルスの人だけでなく、日本から来た人々も当地で見るねぶたに涙していました。日本の伝統がロサンゼルスで花咲く。その感動を今年も味わえることを楽しみにしています」
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