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Writer's pictureRafu Shimpo

トランプ騒動

 あの日以来、ダウンタウンに住む私の頭上では絶えずヘリコプターの低いうなり声がしている。寝る時もまるで子守唄のようについてくる。ああ、今日も若者たちが「NOT MY PRESIDENT 」のプラカードを掲げてデモをしているのだ…と思いながら眠りに就く。こんな日が4日続いた。  クリントン対トランプの対決となった大統領選。劣勢になり始めると「八百長選挙だ、投票所でも不正が行われようとしている」とまで言い出したトランプ氏が、8日の開票結果にどんな風に駄々をこねるのか見ものだとの期待は裏切られた。負けたクリントン氏は潔く敗北を認めた。これが普通の良識というものだ。その代わりに若者たちが蜂起したのであろうか。  選挙権を持たない私が、テレビの開票速報を深夜まで見ることになろうとは、思いもしなかった。映し出される画面の得票%と地図上に表示された選挙人の数を見比べ、熱くなる。まるでゲームじゃないかと思ってしまう。(結局、クリントン氏が100万票以上リードしていたと後日報道され、釈然としない思いが残る)  トランプ氏の大逆転につながったウィスコンシン(10)、ミシガン(16)、ペンシルベニア(20)、オハイオ(18)の4州で長女イバンカさんの応援が勝利の原動力になったという報道で合点がいった。選挙人数は合計で64も獲得している。  35歳の彼女はペンシルベニア大学の学士課程で経済学を学び、元モデルで実業家。インタビューに応じた白人女性の誰もが「立派な人、頭がよくて、きれいで、性格も育ちもいい…」とベタ褒めである。彼女に投票するわけではないのだが「イバンカを育てた親だから信頼出来る」とまで言わしめている。  新聞紙面には連日、「不法移民300万人送還」「トランプチームの内紛勃発」「全米各地でヘイトクライム急増」の見出しが躍る。トランプ氏はこれから先、どういう見出しでわれわれを驚かせ続けるのであろうか。今までの暴言が選挙戦でのパフォーマンスであったとして、その裏に隠された真意があるのか、ないのか、今は想像も出来ないでいる。【中島千絵】

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