ナルクUSA創立10周年:「生活の質」話し合う
シンポジウムで「55歳からの生活の質」について見解を述べるナルクの高畑会長(中央)。パネリストは(右から)ウイルハイト会長、福山さん、小谷さん、青木さん、仲さん
会場には保険や介護ホーム、葬儀社、弁護士などのブースが並び、参加者は立ち寄って情報を得ていた
遠距離介護を目的とした会員制の時間委託ボランティアNPO団体「ナルクUSA(Nikkei Active Life Club USA)」(ウイルハイトよしこ会長、会員80人)は13日、ニッポン・アクティブライフ・クラブの高畑敬一会長をはじめ、医療や介護分野の専門家を招き、創立10周年を記念した特別シンポジウム「55歳からの生活の質を考える」をレドンドビーチのホテルで開催した。
ウィルハイト会長はあいさつの中で、地域密着型の社会貢献に努めてきた10年を振り返り、「日米ともに高齢化社会に突入し、いかに精神的に充実し、経済的に安定し、安心した生活を送ることができるかを考え、それぞれが違った生活環境の中で自分にどのような選択肢があり、どのような準備が必要なのかを知っておくことが大切」と訴え、参加者とともに考えていきたいと述べた。 ナルクUSAは、暮しやすい地域社会を目指し、会員相互でボランティアを行う団体で、日本に拠点のあるナルクの米国拠点として設立。日本に住む両親や将来自分に助けが必要になった際に、自身が行った奉仕活動を時間委託という形で使用し、介護や世話の依頼をすることができる。奉仕内容は、話し相手や病院への付き添い、産前産後の家事手伝い、ペットの世話、通訳・翻訳、コンピューター相談など多岐にわたる。 米国拠点設立10周年を記念し開催されたシンポジウムには、約120人が参加し、その関心の高さをうかがわせた。パネリストにはナルクの高畑会長、仲甲三さん、青木富子さん、ナルクUSAのウィルハイト会長、ラグナヒルズで州認定のレジデンスホーム「OCホームズ」を運営する小谷洸弘さん、敬老シニアヘルスケアの福山加奈子さんを迎え、日本の老人ホームや高齢者介護サービスの種類と特徴、アメリカでの高齢者住宅介護情報、長期介護保険についてなど、それぞれ分かりやすく説明。多くの参加者がメモを取るなどし、専門家の話に真剣に耳を傾けた。 中でも、介護が必要になった高齢者も住み慣れた自宅や地域で暮らし続けられるように、「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」のサービスを一体的に受けられる支援体制「地域包括ケアシステム」の重要性に触れ、ナルクのようなボランティア活動はその中で大きな役割を担うと話した。 この日の参加者の1人でトーレンス在住の福田和恵さんは、「介護にまつわる日本の状況やナルクの活動内容が分かっただけでなく、あらためて人と人のつながり、助け合い、ボランティア精神の大切さを学んだ」と述べ、この日ナルクUSAに入会、「自分のできることから始めたい」と話した。 ナルクUSAの詳細はホームページで― http://nalcusa.org/1/ 【中村良子、写真も】
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