ハリウッドでプレミア上映:6月2日から米国公開へ
時代劇映画「たたら侍」のプレミアで、レッドカーペットに登場しポーズをとる(左から)小林直己、青柳翔、錦織良成監督、HIRO、AKIRA
モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門で最優秀芸術賞を受賞した注目の時代劇映画「たたら侍」(錦織良成監督)のプレミア上映が、6月2日からの米国公開に先立ち8日夜、ハリウッドのエジプシャンシアターで催された。映画初プロディースの「EXILE」のHIROと、主人公役の劇団EXILEの青柳翔、EXILEの小林直己、AKIRAら出演者11人がレッドカーペットに登場。上映後の舞台あいさつでは、参加者約600人からスタンディングオベーションを贈られた。
「たたら侍」の1シーン。右が新平(小林)、中央奥は伍介(青柳)Copyright © TATARA SAMURAI. All rights reserved.
錦織監督は制作のリサーチで、侍が刀をほとんど抜いたことがなかったことを知って驚いたという。「日本刀はお守りであって、基本は抜かない」と説き、学んだ「日本刀の本当の姿、奥深さ」が作品に反映されている。派手な殺陣は米国人が好むが、映画では抑え気味に映る。また、憎しみを堪えて戦いを避け、恩讐を超えた村人の情感をうまく表している。 EXILEとのコラボレーションについて監督は、世界展開を図るHIROと思いが合致し「日本文化を世界に伝える作品を撮ろう」と誓ったという。テーマを「世界に誇る日本のモノづくり」と掲げ、たたら吹きで職人の魂を伝え、真剣を制作する刀匠の鍛造シーンでは匠の技を表現している。撮影はフィルムにこだわり、CGを極力避けたという。 上映前に総領事公邸で記者会見が開かれ、共催した在ロサンゼルス日本総領事館とジャパン・ハウスLAが会見場を提供した。千葉明総領事は、日本政府が力を注ぐコンテンツの輸出について「映画をはじめ音楽、ダンスの産業は、大きな伸びしろがあると思う。日本が一丸となって、世界のエンターテインメント産業の都ハリウッドへと飛躍することが、私の夢でもあり、日本の未来でもある」と力を込めた。映画については「日本文化とは、何かを伝えるのみならず、奥深い日本人の心根
侍を志して村を離れ、船に乗る伍介(青柳) Copyright © TATARA SAMURAI. All rights reserved.
が伝わる。日本人の精神文化を、たたら侍はきっと感じさせてくれると思う」と期待を寄せた。 HIRO、青柳らは、レッドカーペットを感慨深げにゆっくりと歩き、インタビューで立ち止まり、作品の見どころなどを紹介した。 HIROは「時代劇だが、現代のわれわれの思いに通ずるものがあると思う。本物の強さとは何なのかというのを感じてほしい」と話し、青柳は「たたら吹きを知らない人が多いと思うので、この機会に知ってもらえればうれしい。日本の美しい景色を本当にていねいに切り取った映画と思うので楽しんでほしい」と願った。「侍は、戦闘員ではない」と強調した小林は「侍とは精神のことで、武士道の精神を指す」と力説すると、侍役のAKIRAは「侍が刀を抜かずして、どのように人を守るか、その強さを見せる美学、そして日本人の忍耐強さを映し出している」と語った。 上映後は、大きな拍手を浴びながら出演者が舞台に上がり、参加者の質問に答えた。青柳は「ハリウッドのすてきな場所で上映でき光栄で、本当にうれしかった」
甲冑を身にまとって騎乗し、戦いに向かう尼子真之介(左、AKIRA) Copyright © TATARA SAMURAI. All rights reserved.
と喜んだ。HIROは「お客さんの反応がよくて感動した。クセになりそう」と余韻に浸った。HIROは自身が率いるエンターテインメント企業「LDH」の海外展開を本格化させるといい、今夏にはニューヨークに次ぐ米国2校目をLAに開校する予定で「新しいエンターテインメントの道が開けた。この『たたら侍』をきっかけに今後どんどん挑戦していきたい」と抱負を述べた。 たたら侍は、6月2日から10州で公開される。詳細はウエブサイト— www.elevenarts.net/tatarasamurai/
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