ハリウッドで世界プレミア:三浦春馬が舞台あいさつ
巨人が突如現れ、壁を壊すシーン©FUNimation Entertainment
世界で5000万部以上を売り上げる人気のコミック「進撃の巨人(Attack on Titan)」の実写版映画の前編、後編がそれぞれ今夏から、日本を皮切りに63カ国で上映される。公開に先立ち、主人公役の三浦春馬と、ヒロイン役の水原希子が樋口真嗣監督とともに来米し、ハリウッドのエジプシャンシアターで行われたワールドプレミアに参加した。レッドカーペットを歩き、上映後の舞台あいさつではスタンディングオベーションを贈られ、期待のかかる、世界での快進撃に弾みをつけた。【永田 潤】
ストーリーは、100年以上前に突如現れた巨人たちに、人類の大半が食われ、文明は崩壊した。生き残った者たちは巨人の侵攻を防ぐため、巨大な壁を三重に築き、生活圏を確保して平和に暮らした。そこに再び巨人の襲撃に遭い、惨劇が繰り返された。エレン(三浦)と、ミカサ(水原)は調査兵団に入団し、巨人に立ち向かう。実写版は、原作にはないエピソードや人物が登場し、見応えのある内容に仕上がっている。
実写映画「進撃の巨人」のワールドプレミアで、レッドカーペットに登場した(左から)樋口真嗣監督、三浦春馬、水原希子
3人は、記者会見に臨み、撮影や作品の見所を紹介。レッドカーペットでは、ファンにサインし、無数のフラッシュを浴びながら、興奮気味でメディアのインタビューに答えた。
撮影は、アクション続きで過酷だったという。三浦と水原はスタントを立てなかったため、準備を入念にして現場に臨んだ。三浦は「(巨人との空中戦のための)ワイヤーアクションが見せ場だったので、インナーマッスルを強化した」といい、水原も「(宙を舞うための大きな)立体機動装置を身に着けたので、足腰と腹筋回りを鍛えた。他にもいろんなアクションがあったので、がむしゃらに練習(1日8時間の時も)をして、それは、それは大変だった」と明かした。
作品は、緊迫感あふれるアクションシーンそして、グロテスクな巨人が人間を食う残酷な描写が多々出てくるが、フルCGではないという。プロデューサーで、東宝本部の山口章弘・映画企画部長によると「躍動感などの感情移入がしやすい」というゴジラやウルトラマンに代表される東宝独自の特撮を駆使しており「着ぐるみやミニチュアを併用した『ハイブリッドの特撮VFX(ビジュアル・エフェクツ)』」と表現し、完成度を高めた。
「(6年前から読んだいた)漫画にはまった」という樋口監督は、実写化について「どこまで原作のようなことができるか」と考えたという。「現実的にできることと、できないことがあって、その中で何を生かすのか」を心掛けたといい、「物語の中の最も重要な要素である、滅びに瀕した人類の様相が、原作の中にあるリアリティーだと思った」と説き、作品では、人々が巨人に怯えながらも、勇敢に戦い、生き抜く姿が巧みに描かれている。
本場ハリウッドで、レッドカーペットを踏みしめた三浦は「本当に最高の気分。自分が経験できるとは思っていなかったのでうれしい」と喜び、水原は「夢のようで、将来オファーがきてアメリカの映画に出られればいい」と願った。
上映会は約600人が鑑賞し、ファンは巨人の襲撃に恐怖を覚えながらも、熱演した三浦と水原が登場するたびに、拍手と歓声が起こった。上映後は、3人がそろって舞台であいさつし、撮影時の逸話を紹介するなど会場を沸かせた。
喝采を浴びた三浦は、ファンに向け「温かい拍手をありがたく思う。興奮を共有できたことが、うれしくてたまらない」と感謝に堪えない。制作のチームワークを強調し「本当に多くの人がかかわっていて、その人たちの労力や頑張りが世界の人々に届くのがうれしい」と、公開を心待ちにする。
自身のハイライトを水原は「軍艦島で撮影した巨人に立ち向かうシーン」と紹介し、「ミカサは強い役なので、やっていて気持ちよかった」と、満面の笑みを浮かべた。その笑顔とは対照的に鑑賞中は、撮影での奮闘を思い出し「感無量で泣きそうになった」という。「頑張ってよかった。過酷で大変だったけど、みんなに喜んでもらい、それが全部報われた。心から幸せに思う」と、感激の面持ちで話した。
樋口監督は「何のためにロサンゼルスに来るのかが分からなかった。でも今、(お客さんの反応を見て)やっと分かった。みなさんは、世界で最初に映画を見せたお客さんであり、こんなに素晴らしいことはない」
映画は、日本で前編が8月1日、後編は9月19日に公開される。米国では今秋、200館以上で上映される予定。
ウエブサイト―
www.attackontitanthemovie.com
巨人の襲撃から逃げる人々。エレン(左、三浦春馬)と、ミカサ(右、水原希子)©FUNimation Entertainment
「心臓を捧げよ」の号令にポーズをとって応えるエレンを演じる三浦春馬©FUNimation Entertainment
巨人と戦う調査団の団員©FUNimation Entertainment
Comments