バイデン副大統領 :「最低賃金の引き上げを」
LAを訪れ、最低賃金の引き上げ案について演説したバイデン副大統領=22日、ノースハリウッド
ジョー・バイデン副大統領は22日、ロサンゼルスを訪れ、オバマ大統領とともに同氏が推し進めている最低賃金の引き上げ案について演説した。現在、LA市に引き続き、LA郡でも最低賃金の引き上げが承認されたばかり。所得をめぐる不平等の拡大を阻止すべきと訴え、地元市民らに支持を求めた。【吉田純子、写真も】
演説会場となったのは、ノースハリウッドにある住宅設備機器製造メーカー「Bobrick Washroomsya」社の工場。同社従業員をはじめ、先月、最低賃金の引き上げ案が承認されたLA市のエリック・ガーセッティー市長、LA市議、LA郡参事、地元有権者らが集まる中、演説が行われた。
最低賃金をめぐり、オバマ大統領は、所得格差の拡大が経済に悪影響を与えているとして、議会に引き上げを呼びかけている。
「利益追求のため労働力として従業員を扱うのではなく、彼らに尊敬の念をもち、労力に値する正当な賃金を支払うべきだ。最低賃金の引き上げが実現すれば3500万人もの人々の生活の質が向上する」
連邦の最低賃金を現在の時給7・25ドルから12ドルに引き上げるべきと主張するバイデン副大統領
この日もバイデン氏は、連邦の最低賃金を現在の時給7・25ドルから12ドルに引き上げるべきと主張。全米レベルで最低賃金の引き上げの動きを加速させたい考えだ。
「時給7・25ドルでは年収およそ1万4千ドルしか得ることができない。しかし、12ドルになれば2万4千ドルになる。子どもたちに必要なものを買うことができ、1カ月に1度、映画にだって連れて行くことができる」と訴えた。
同社の従業員で、バイデン氏の演説を聞いていたデージャ・クルスさんは、「これまでは子どもを育てるのも大変だった。引き上げが実現すれば、バイデン氏が言うように、最低賃金で働いていた人々もミドルクラスの生活ができるようになるだろう」と話し、同氏を支持した。
最低賃金の引き上げに関しては、LA郡参事会でも21日に投票が行われ、3対2の賛成多数で承認されたばかり。
内容は同郡の非市政化地区で、最低賃金を現在の時給9ドルから2020年までに15ドルまで引き上げるというもの。発起人は同郡参事官のシーラ・キュール氏。先月LA市で引き上げ案が承認されたことを受け提案された。
LA市と同様、同郡の引き上げ案も、従業員数26人以上の大規模企業に関しては、2016年7月から10・50ドルに、17年7月から12ドル、18年7月から13・25ドル、19年7月から14・25ドル、20年7月から15ドルに段階的に引き上げるというもの。従業員数が26人以下の小規模企業は1年遅れの実施が提案されている。
賛成派はキュール氏のほか、マーク・リドリー・トーマス、ヒルダ・ソリス両郡参事の3人。
一方、反対票を投じたのはマイケル・アントノヴィッチとドン・クナベ両郡参事。最低賃金が引き上げられれば、不景気に苦しむ企業にさらなる負担がのしかかるだけだと主張。多くの企業がより安い労働力を求めて同郡から離れ、税収が激減するだろうと話している。
現在、サンタモニカ市とウエストハリウッド市でも最低賃金の引き上げ案が検討されている。
カリフォルニア州では来年1月に最低賃金が現在の時給9ドルから10ドルに引き上げられる。
同日、多くの職員を抱えるカリフォルニア大学(UC)機構も、17年10月までに、フルタイムで働く職員の給与を時給15ドルまで引き上げると発表した。
先月、最低賃金の引き上げ案が成立し、同案の重要性を述べるLA市のエリック・ガーセッティー市長(右)とバイデン副大統領
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