バイデン副大統領:パリ同時多発テロについて初言及
ロサンゼルスを訪問し、気候変動など環境問題への対策として再生可能エネルギーの重要性を訴えるバイデン副大統領
バイデン副大統領は16日、ロサンゼルスを訪れ、気候変動や地球環境問題への取り組みとして、再生可能エネルギーなどのクリーンテクノロジーと、それに伴う雇用創出についてエリック・ガーセッティーLA市長と協議した。またバイデン氏は13日に発生したパリ同時多発テロを受け、初めて公の場で今回のテロについて言及。米国はフランスとの連携を深めていくことを強調した。【吉田純子、写真も】
石油や石炭などの化石燃料から、太陽熱や水力、風力など再生可能エネルギーへの移行に取り組むLA市の戦略拠点として2011年に設立されたNPO「L.A. Cleantech Incubator」で協議は行われ、LAでクリーンテクノロジー産業に携わる代表者ら12人も参加し、意見交換が行われた。
LAでクリーンテクノロジー産業に携わる代表者(手前)のこれまでの取り組みを聞くバイデン副大統領(左)とガーセッティーLA市長(右)
1年前、ガーセッティー市長は、2050年までに車の排ガス量を80%削減し、25年までに石炭などの化石燃料から再生可能エネルギーに移行する目標を掲げた。LA市の人口は今後20年間で50万人以上増加すると推測されており、ガーセッティー市長は「人口の増加に伴い、環境に優しい都市づくりを実践しなければならない」と強調した。
LA市はクリーンテクノロジー関連の雇用が全米でもっとも多く、総雇用数の3・9%、民間部門の4・5%を占めている。
バイデン副大統領は「ロサンゼルスは積極的に環境問題に取り組んでおり、全米の中でも他の都市をリードする存在である」とこれまでの取り組みを称賛した。
この日バイデン氏は13日に発生したパリ同時多発テロについて、初めて公の場で今回のテロについて言及した。「テロ行為は断じて許されるべきではない」と強調し、「イスラム国は屈折したイデオロギーを抱いている」と非難した。「米国は彼らに屈しない。今回のテロの後もイスラム国に対する認識は変わらない。今後もフランスと連携してテロと立ち向かう」と話した。
また今回のテロを受け、「米国を中心にフランスも加盟する軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)やEU諸国のイスラム国に対する対応が今後一層強化されるだろう」とも話した。
実行犯のひとりが、シリアからの難民を装い入国していたとみられていることで、現在、ミシガン州やアラバマ州、テキサス州などこれまでに26州で新たな難民の受け入れを一時停止する動きが出てきている。
現在、野党・共和党だけでなく、与党・民主党からも難民受け入れに反対する声が上がっており、主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席していたオバマ大統領は16日、開催国トルコでの記者会見で「暴力の犠牲者に対してわれわれは心を閉ざすべきではない」と訴えた。
大統領は今年9月、2016年会計年度(15年10月から16年9月)に、少なくとも1万人のシリア難民を受け入れる方針を決めている。一連の反対の動きに対しバイデン氏も、「難民の受け入れを停止すべきではない」と主張した。
難民プロセスセンターによるとカリフォルニア州では今年、218人のシリア難民を受け入れている。加州のジェリー・ブラウン知事も同日、難民受け入れの一時停止に反対し、連邦政府と連携し、徹底した身元確認を行い、継続的に難民の受け入れを実施していく意向を示した。
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