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Writer's pictureRafu Shimpo

ビジネスワイド:アジアビール1位を維持【上】

米国でのアジアビール売り上げナンバーワンの座を維持しているサッポロUSAの大類社長

米国でのアジアビール売り上げナンバーワンの座を維持しているサッポロUSAの大類社長


サッポロUSA社長 大類司さん

 「サッポロビール」社の米国法人として1984年に設立後、わずか2年で米国でのアジアビール売り上げナンバーワンの地位を獲得。以来今日まで1位の座を維持する「サッポロUSA」社。その秘訣と努力、米ビール市場に挑む今後の挑戦など、同社社長の大類司氏に話を聞いた。【取材=吉田純子】

札幌五輪で認知度高まる 覚えやすいスターマーク

 サッポロビールが米国で現地法人としてサッポロUSAを設立したのは84年。それ以前はビールを日本から輸入し10年ほど販売していた。同社は米国に進出した日本のビール会社として古い歴史をもつ。  86年から現在まで、米国でのアジアビールの売り上げナンバーワンを維持。寿司などの日本食の普及とともに、徐々に人気は浸透していった。  日本のビール会社として米国で支持を得られているのは、早くに米市場に出たことが大きな要因だと大類社長は話す。当初、顧客のほとんどが日本人で、日本食レストランだけで取り扱われていたが、同社はいち早く日系だけでなく、米国の問屋とも契約。当時米国人しか住んでいなかった中西部などにも進出していった。  72年の札幌オリンピックで同社の名前は世界的に認知されるようになった。ロゴのスターマークも覚えやすく「サッポロ」という名前も米国人には言いやすかった。高度経済成長とともに日本の存在感が大きくなり、日本が見直され始めた時期ともちょうど重なった。  現在米国ではラーメンが流行し、日本食は再びブームを迎えている。リーマンショック以降、日本企業の視線はアジアに向いていたが、ここ2、3年で北米進出をする企業も多くなってきている。「米国では今、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスといった大都市だけでなく、地方都市にも日本食の店ができています。また大きなチャンスが訪れると思っています」と大類社長は話す。

北米で製造、価値追求 8ブロックに分け営業活動

 同社はニューヨークに米国本社を置き、セールスとマーケティング業務のみ行っている。全米を8つのブロックに分け、46人の従業員が営業活動を行う。ロサンゼルスは支店で、その他のエリアはホームオフィスとなっている。  2006年にサッポロビールはカナダ第3位のビール会社「スリーマン」社を買収。米国で販売している商品はスリーマンおよびスリーマンが以前から契約しているウィスコンシン州に拠点を置く「シティーブリューイング」社が製造。カナダ産と米国産が流通している。  米国で扱われているのは「サッポロ・プレミアム」、「サッポロ・リザーブ」、「サッポロ・プレミアム・ライト」の3種。日本のサッポロビールの主力商品「サッポロ黒ラベル」と同じ製法で作られているのがサッポロ・プレミアムで、売り上げの90%を占める。  「日本のヱビスビールに代わるものを」と製造されたのがサッポロ・リザーブ。麦芽100%で作られており、コクのある深い味わいが特徴となっている。  サッポロ・プレミアム・ライトは米国市場に合わせて作られ、アルコール度数を3・9%に抑え、飲みやすく仕上げた。  ちなみにサッポロ・リザーブとサッポロ・プレミアム・ライトは日本では製造されておらず、米国でしか飲むことができない。  当初は「サッポロ黒ラベル」などを日本から輸入し販売していた。しかしビールは生き物で、鮮度が命。作り立てが一番おいしい。船で輸入していては米国に到着するのに1カ月かかり、消費者のもとには半年かかることもある。「それでは本来のビールの価値ではない」。買収前のスリーマンに現地委託を依頼し、02年から北米での製造を開始した。

あくまで食が主役 飲み飽きないビールを

 「ビールは主役にはなりません。あくまで食が主役。いかに食を邪魔しないかだと思っています。最初の1杯をぐっと飲んで食事を楽しんでいただくのがビールのあるべき姿だと思っています」  今流行のクラフトビールは苦みがあり、食事中ずっと飲み続けられず、食事の味を邪魔してしまうことも。一方、日本のビールはドイツ系のピルスナータイプでのどごしが良く、どんな食事にも合う。「味もよく、飲んだ後リフレッシュでき、何杯飲んでも飲み飽きないビールを目指しているのです」  【後編に続く】

本社のあるNYからロサンゼルス支店を訪れ社員と打ち合わせをする大類社長(左)

本社のあるNYからロサンゼルス支店を訪れ社員と打ち合わせをする大類社長(左)


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