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Writer's pictureRafu Shimpo

ビジネスワイド:アジアビール1位を維持【下】

米国でのアジアビール売り上げナンバーワンの座を維持しているサッポロUSAの大類社長

米国でのアジアビール売り上げナンバーワンの座を維持しているサッポロUSAの大類社長

サッポロUSA社長  大類司さん

 「サッポロビール」社の米国法人として1984年に設立後、わずか2年で米国でのアジアビール売り上げナンバーワンの地位を獲得。以来今日まで1位の座を維持する「サッポロUSA」社。その秘訣と努力、米ビール市場に挑む今後の挑戦など、同社社長の大類司氏に話を聞く後編。【取材=吉田純子】

知名度とともに売上げ増加 コンビニでも取り扱い開始

2013年に行われた全米卸大会後のパーティーで同社ディレクターのカルロス・セオニ氏(右)と大類社長(サッポロUSA社提供)

2013年に行われた全米卸大会後のパーティーで同社ディレクターのカルロス・セオニ氏(右)と大類社長(サッポロUSA社提供)

 ビール各社、売り上げの75%は酒屋やスーパーマーケット、残り25%がレストランやバーだというが、同社の米国での売り上げの3分の2はレストランだ。  「売り方に差はないと思っています。販売の仕方はオーソドックス。いかに問屋と良いコミュニケーションをとり、問屋が同社の商品に合ったスーパーやレストランに売り込みに行くか。戦略の差はないと思います」と大類社長は話す。  米マーケットには当然現地の問屋が力を持つ。問屋に営業活動をする同社担当者は米国人だ。「しかし商品そのものの知名度がある程度上がらないと、採用(取り扱い)にはつながりません。店側は売れる商品を置きたい訳ですから」  同社の商品はラルフズやボンズ、アルバートソンなどのスーパーマーケットで取扱われている。「こうした店舗でもある程度売れていることが証明されていないと置いてもらえません。やはりレストランなどで知名度が上がってきたのが影響しているのだと思います」  最近ではスーパーマーケットだけでなく、コンビニエンスストアでも商品が並ぶようになった。ここ2年でCVSやライトエイド、ウォルグリーンなどのドラッグストアでも取り扱われている。ドラッグストアはビール売り場の面積が狭く、採用につながるのは困難といわれている。しかし同社の商品はここでも着実に売り上げを伸ばしているという。  「最初、レストランで商品を知った人がスーパーで買ってくれるようになりました。その実績がコンビニでの採用につながったのだと思います」。  また売り上げには米国人のライフスタイルや、日本に関心のある人が多いか少ないかも影響する。東海岸や西海岸はビジネスなどで他国の人と交流する人が多く住むが、農業が中心の中西部では日本のことを知る人も少なく、サッポロビールを知らない人もいるという。

LAはビッグマーケット 「ユニークでクール」なビールを

 当地ロサンゼルスはビッグマーケット。同社の売り上げの40%がカリフォルニア州だ。次いでニューヨーク州が15%。フロリダ、テキサス、イリノイ各州が続きそれぞれ4%ほどだという。シェアは毎年伸び続け、伸び率も毎年3〜5%だ。  一方、米国のビール業界全体の売り上げは横ばいだ。米大手ビールメーカーの売り上げが下がり、クラフトビールといわれる地ビールやメキシコのビールが現在売上げを伸ばしている。

 東部地区マネージャー会議での風景(サッポロUSA社提供)

東部地区マネージャー会議での風景(サッポロUSA社提供)

 以前はスーパーマーケットでも売り場のほとんどを米大手メーカーが占め、輸入ビールや地ビールは隅におかれていたのが逆転。今ではクラフトビールが占領している。「この現状はわれわれにもチャンスがある現れです。今こそチャレンジする良い機会だと思っています」と大類社長は力を込める。  ブランドのイメージ戦略も重要だ。同社では毎年ブランド診断調査を実施。毎年同じ時期に同じ質問をし、自分たちのブランドがどういう位置にいるのかを調査している。  「ユニークでクール」が同社のビールのイメージ。人種を問わず20、30代でこだわりを持ったライフスタイルを送る人をメーンターゲットに、CMにもそのイメージを取り入れている。NYのブルックリンなどで行われる若者向けクラブイベントにも協賛し、普及活動に励む。  「輸入ビールは価格も割高。ファッションやグルメ、テクノロジーにこだわりを持った人が今後も選択してくれると思っています」

 大類司社長略歴

 87年にサッポロビール入社。国内営業などを経て、97年にナパバレーに渡り、当時同社が所有していたワイナリーの責任者に就任。日本ソムリエ協会ワインアドバイザーの資格も取得しワイン事業に携わる。  99年に帰国し、日本で3年間ワイン事業に関わり、チェーンストアのマーケティング事業を担当。  その後海外から上陸する新商品の立ち上げに参画。グローバルな会社の考え方に初めて触れる。「海外の会社はまずダイナミズムが違います。速度、ターゲットの高さ、高い目標を掲げいかに取り組むかを3年を通して学びました」と振り返る。  その後宣伝部長、全輸入ワインを扱う部署のマネージャーを経て、北海道本部マーケティング部長に就任。販売戦略から企画立案、利益管理などすべての責任を担った。その後再び米国に渡り現在に至る。今もナパ近郊のワインに関する豊富な知識を持つ。

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