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Writer's pictureRafu Shimpo

プラスチック袋の功罪

 70年代のはじめの頃、食料品の買い物にスーパーマーケットに行くと、ハンドルなしの茶色の大きな紙袋に食料品を入れてくれた。  そんな紙袋に肉やミルク、野菜をはみ出すほど入れて、4〜5袋買っても25ドルくらいでレジを通ることができた時代である。  この紙袋は油をよく吸うので、てんぷらを揚げるときにはペーパータオルの下に敷いたり、裏返して日本へ小包を送るときには箱を包むなど便利に使った。  ところがいつの間にかハンドル無しの紙袋はプラスチックの買い物袋に取って代わられて久しい。  少し重いものを買うと、キャッシャーは袋を二重にしてくれる。肉類と野菜類、ブレッドに缶詰類、頼まなくても別々の袋に入れてくれる、というわけで、一度買い物に行くと5枚から10枚の袋が溜まってくる。  この袋、買い物を家まで運ぶだけでなく、近所の人に自家栽培の野菜をおすそ分けするとき、汚れた靴を包んで持ち帰ったり、ハンドバックに1枚入れておけば、雨の日には濡れた傘を入れ衣服を濡らさずにすむという便利な代物。  しかし、どんどん溜まる無料の袋は街に氾濫して粗末に扱われ、道端に捨てられ、風に吹かれて街路樹の枝に引っ掛かり、下水の流れを止め、海に流れ、それを自然界の動物や鳥が餌と間違え飲み込んだり、ハンドルの輪に首や体を締め付けられたりと、環境汚染が問題になっている。  捨てられた袋は土に還ることを拒否して、焼けば悪臭と有毒ガスを発生し、埋めれば何時までも腐敗せずに存在を主張する、と厄介だが、近々シカゴでも大手のスーパー・マーケットや百貨店から姿を消す。使い捨てを止めて布製や紙、プラスチックでも丈夫で何度も使える袋の使用を市が呼びかけているからだ。  ところでシカゴの仏教会では有志が集まってこのプラスチック袋を回収して細いテープにして、鉤針編みでホームレスの人々のためのスリーピング・マットをつくっており、寒い冬など随分喜ばれているそうだが、このプロジェクトの原材料の調達が難しくなりそうである。  あちら立てればこちらがたたず…。【川口加代子】

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