ヘイトクライム:大統領選後、各地で急増
LAで行われたヘイトクライム防止を呼び掛ける集会に参加した人々
連邦捜査局(FBI)は14日、全米の憎悪犯罪(ヘイトクライム)に関する調査結果を発表した。統計によると、イスラム教徒に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)が2014年の154件より67%増加し、15年は257件報告され、もっとも増加していたことが明らかになった。また大統領選後、全米各地でヘイトクライムが相次いで報告されている。【吉田純子、写真も】
ヘイトクライムは人種や性的指向、宗教を標的にした犯罪で、毎年発生件数の統計が発表されている。 15年に全米各地で報告されたヘイトクライムの発生件数は5850件で、前年の5479件より6・8%増加した。 うち人種を標的にしたものが全体の59・2%、宗教が19・7%、性的指向が17・7%、性別が3・3%となった。 イスラム教徒を標的にしたヘイトクライムは、同時多発テロが発生した01年が481件ともっとも多く、今回はそれ以来の多さとなった。 もっとも多かったのはユダヤ教徒に対するヘイトクライムで、前年比9%増の664件報告された。 黒人に対するヘイトクライムは前年比8%増、性的少数者(LGBT)は前年比5%増となった。 大統領選でイスラム教徒の米国への入国禁止や、不法移民の強制送還、米・メキシコ国境への壁建設など移民排斥の主張を続けてきた共和党のドナルド・トランプ氏が当選して以来、全米各地では人種や宗教からくるヘイトクライムが相次いで発生している。 LA郡参事のヒルダ・ソリス氏によると、大統領選後、ロサンゼルスでもいじめや嫌がらせなどの被害が相次いで報告されているという。 サンファナンドバレーではイスラム系米国人の高校生が、身に着けていたヒジャブ(頭髪を覆い隠すスカーフ)をいきなりもぎ取られ、「テロリスト、お前は米国人ではない」と言われる事件が発生。 またアズサ市では女性が歩道を歩いていると、車を運転していた男性がいきなり車から降り、「メキシコ人は出て行け」と言い放ち、持っていたソーダのカップを女性に投げつけたという。 こうした事件を受け、ソリス氏は差別や嫌がらせ、いじめ行為防止のため、LA郡シェリフ局や各行政機関と協力して、標的となっているコミュニティーの救済に取り組むとしている。
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