ポーターランチガス漏出事故:避難生活続く日系住民の怒り 【後編】
現在も転居先で避難生活を送る山口さん夫妻。ポーターランチの自宅に一時帰宅した際に撮影=15日
SoCalGas施設ガス漏出事故が発生したポーターランチに30年以上前から住む山口弘・淑子さん夫妻。暫定的に漏出が停止したとガス会社から発表があった後も引き続き転居先で避難生活を送る2人に、これまでの苦労やガス会社に対する憤りを聞く後編。【吉田純子、写真も】
「転居先のことなどガス会社と交渉しなければならないことが山ほどありました。先行きの見えない不安定な暮らしで気が休まることがないのです」。
ガス会社が漏出を暫定的にくい止めたと発表したのが11日。環境防衛基金(EDF)によると3カ月以上にわたりSoCalGas の施設から推定9万6千トンのメタンガスが漏出したという。
2月はじめにはポーターランチの住民に追い打ちをかける事態が発生した。
「1月のガス料金が驚くほど上がっていたのです。普段は平均して月50ドルほどですが、およそ180ドルまで値上がりしていたのです。転居して家にいないのに、ガス代が高くなっているなんておかしいではありませんか。ガス会社に問いただすと、これまで職員が一軒ずつまわってメーターを調べていた作業を、電波を利用し機械でガス使用量を計測するシステムに変更したからだというのです」。住民からもガス料金の著しい値上がりに不満の声が上がった。
「非常に疑わしいです。ガス料金を値上げして、転居費用に代用されていては困ります。きちんと政府機関が調査すべきです」
こうした事態を受け、ポーターランチを含むLA市の第12区を管轄するミッチェル・イングランダー市議は、ガス漏出事故との関連性などを含め、値上がりの原因をカリフォルニア公益事業委員会が調査するよう依頼した。
これまでのところガス会社側は、今冬は例年より寒かったことが影響し、ガス利用が多かったと主張。漏出事故との関連性を否定しているが、イングランダー市議のもとには例年同時期と比べガス料金が4〜6倍に上がったという住民からの苦情が数多く寄せられたという。
当初ガス会社は漏出停止作業が完了したら、48時間以内に住民への転居アシスタントを終了するとしていた。しかしこの対応にも住民からの非難が殺到。住民代表グループやマイケル・アントノビッチLA郡参事官らの働きかけもあり期間の延長が決まった。ホテルで転居生活を送る住民は最大で8日間、レントハウスで生活する住民は契約期間終了まで滞在できることになった。山口さん夫妻も契約期間の1カ月間は転居先で生活する予定だという。
「数日の話ではないのです。3カ月以上にわたって推定9万トン以上ものメタンガスが噴出していたのです。その大量のガスが数日で消えるとは思えません。ポーターランチの空は汚染されておらず安全であるという科学的なデータを示してもらえなければ戻ることなどできません。さらに施設内には老朽化したガス井が多数存在しているというではありませんか。ガス会社は住民を帰す前に、健康と環境に問題がないことを保障する必要があると思います」。
住民のひとりとして、山口さん夫妻のガス会社への不信感は募るばかりだと話した。
「ポーターランチガス漏出事故、避難生活続く日系住民の怒り」の前編はこちら
ガス漏出事故が発生したSoCalGaS施設がある山のふもとのポーターランチ住宅地
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