メトオペラ、今期も無事終了
Met Live in HDの今期(2016―17)はモーツァルトの「Don Giovanni(ドン・ジョヴァンニ」、チャイコフスキーの「Eugene Onegin(エフゲニー・オネーギン)」、シュトラウスの「Der Rosenkavalier(ばらの騎士)」の3本しか行けなかった。 「Don Giovanni」は以前書いたと思うので割愛。「Eugene Onegin」はもともと主役の一人のアンナ・ネトレプコが好みではなかったし、メロドラマは興味がなかったがカミさんに引かれてとにかく行ってみた。 しかしさすがチャイコフスキー、曲が流れるようできれい。主役のオネーギン役のペーテル・マッテイはスウェーデン出身のバリトン歌手で役にはまっていた。オネーギンの友人で詩人レンスキー役のアレクセイ・ドルゴフがシャイで気弱で情熱的な雰囲気を醸しだしていてこれもよかった。 「ばらの騎士」は見たかったオペラの一つだったので、ワクワクで行ってきた。今回はルネ・フラミングが「元帥夫人マリー・テレーズ」役で出演。余談だが、現在彼女は引退へ向けていろいろな役を減らしているらしい。で、この日の元帥夫人が「ばらの騎士」での最後の役だとかで、最後はスタンディングオべーションがすごかった。 オクタヴィアン役のエリーナ・ガランチャは宝塚の男役みたいで格好いい。彼女は他にもモーツァルトの「フィガロの結婚」のケルビーノでもズボン役をやっており、「女性が演じる少年が劇中女装して女を演じる」というちょっと不思議な状況をうまく演じていた。「女性が女を演じるから簡単だろう」と思われるかもしれないが、歌手によってはへたすると女性の色気むんむんの少年になったりする。しかし、彼女は無理のない少年(役柄17歳)、また、少年が女装したらこんなものかな、と納得できる役作りで上等だった。 ゾフィー役のエリン・モーリーも清純な少女役をこなしていて好演だった。なんとなくだが、「ウエストサイド物語」のマリアを思い出した。 しかし、この時エリーナが40歳、エリンが36歳。女優はこわい…。 来期も期待しますよ、Met Live in HD !【徳永憲治】
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