ロサンゼルス協会が初点式:「茶の湯の心を伝える」
野垣宗珠社中による点初め。亭主が小林宗由さん、半東は三宅宗和さん
茶道裏千家淡交会ロサンゼルス協会(金井紀年会長)は、新春を祝う初点式を8日、小東京のダブルツリー・ヒルトンで催した。野垣宗珠社中が点初めを披露し、約110人の賀客をもてなした。会員一同は、今年の目標とする「伝えよう、茶の心」を胸に、さらなる精進を誓った。
開会のあいさつに立つ上杉宗裕幹事長
上杉宗裕幹事長が開会のあいさつに立ち、昨年の活動を振り返った。恒例行事への参加に加え、淡交会ハワイ協会設立65周年記念茶会そして、ロサンゼルス市主催のロータスフェスティバルでは「約300人に献茶し、とても喜ばれた。今年もお願いされ(市側が用意する)『お茶室もどき』が、どのようになるか楽しみ」と話した。熊本地震の義援金募金茶会は「予想を上回る募金が集まり7500ドルを寄付でき、県知事よりお礼の手紙を受け取った」と胸を張り、また画期的な海外初という英語による研究会を2日間にわたって開くなど充実した1年を過ごした。「皆さんとともに茶道裏千家の素晴らしさを紹介したい」と話し、今年のテーマの「茶の心」の伝承に意欲を示した。
大宗匠・千玄室氏が託した協会名誉顧問の委嘱状をロバート・ホリ副会長(右)から授与される千葉明総領事
ロバート・ホリ副会長が、新年のあいさつを述べ「裏千家一門が一堂に会し、新年を祝うことに喜びを感じる」と語った。LAから30人が参加したハワイ協会65周年記念大会で大宗匠・千玄室氏が、参集者400人を前に披露した模範点前が印象的だったとし、茶道普及のため世界を回る大宗匠が伝授する「日々新た」「一碗から平和を」などの名言を紹介しながら「『和敬静寂』の心得を持って茶道の普及に努め、2017年を躍進の年にしてほしい」と願った。
同協会名誉顧問に就任した千葉明・在ロサンゼルス日本総領事が、祝辞を贈った。今日庵参事の松本宗静師をはじめ教授陣ら関係者の活動を「当地で長年にわたり伝統の茶道の指導を通じ、親日家を育成している」と、たたえた。「国際交流や文化を通じた世界平和への貢献は、海外で活躍する皆さんの尽力なくして語ることはできない。文化外交の上でたいへん大きな一翼を担っていて感謝したい」と、敬意を表した。
日舞を踊る3歳のソフィア・オオムラ・アームストロングちゃん
茶席には、正客に千葉総領事、次客に南加日系商工会議所副会頭のグレース柴さん、三客に裏千家淡交会オレンジ郡協会会長の半田俊夫さん、松本宗静師、LA協会名誉会長のグレン、キャロル・ウェブさん夫妻、裏千家名誉師範の小泉宗由さんを迎えた。 点初めは、亭主の小林宗由さん、半東の三宅宗和さん、外半東の長富宗伯さん、解説の山下宗裕さんが、それぞれ務めた。床の間には第16代坐忘斎家元筆「老松千年色」が掛けられ、初春らしく、「青竹二重切」の花入れには「結び柳」と梅に椿を生けた。茶道具は、薄器が駒沢徹造「老松茶器」、茶杓は立花大亀和尚作「佳日」、茶碗が11代坂高麗左衛門造「萩 鵬雲斎大宗匠箱」を用い、菓子はちからもち製「初春」を振る舞った。 亭主の三宅さんは、前日に師匠に稽古をつけてもらい備えた。だが、やはり「緊張した」といい「いつも稽古している通りにしよう」と、心を落ちつかせた。客の質問にもしっかりと答え、松本師からは「おいしいお茶をいただきました。ありがとう」と誉められ「うれしかった。ホッとした」と、安堵の表情で語った。 祝善後は、日本舞踊が披露され、式に花を添えた。「大和楽USA」の堅田喜巳扇社中の演奏と、「四季の会」の長唄に乗り、坂東拡三津弥が「三番叟」を演じた。 今年で65回目の初点式という松本師が謝辞を述べ「素晴らしい初点式を迎えることができた。ありがとう。長生き(今年97歳)してよ
「素晴らしい初点式を迎えることができた」謝意を表する松本宗静師
かった」と喜んだ。多くの弟子と孫弟子に向け「歴史があるお茶は、日本の最高文化である。互いを尊敬し、感謝し合い『お茶をやって、よかったね』という気持ちになってもらいたい」と、呼びかけた。
上杉幹事長によると、同協会は各イベントで披露する点前では、呈茶のみならず、精神文化を伝えたいという。今年も西大和学園、あさひ学園、LAダウンタウンのサイアーク小学校を訪問し「子どもたちに思いやりの心や相手に敬意を払う心を、茶道を通して身に付けてもらいたい」と希望。客層は、地域やイベントにより異なるため、幹事長は「年齢や人種に合わせて、理解しやすい方法を考えながら茶道を伝えたい」と抱負を語った。「『和敬静寂』の心は、言葉の壁を超え、万国に通じる」と力を込め、「互いに仲良くし、心を清め、何事が起きても慌てない心を共有できればいい」と語った。【永田潤、写真も】
新年の乾杯を行う淡交会ロサンゼルス協会会員とゲスト
「大和楽USA」の堅田喜巳扇社中の演奏、「四季の会」の長唄で、「三番叟」を踊る坂東拡三津弥
初点式で使われた茶道具
初点式を催した茶道裏千家淡交会ロサンゼルス協会のメンバー。前列中央がロバート・ホリ副会長、右隣が上杉宗裕幹事長
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