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Writer's pictureRafu Shimpo

不安と隣り合わせの住民

 静けさと自然に恵まれたこののどかな住宅地の山の向こうで、ガス漏出が起きているとは到底想像できないような光景だった。  LA北部、人口およそ3万人のポーターランチを襲ったSoCalGas施設のガス漏出事故。これまでにカリフォルニア州が1日に排出する量の4分の1に相当するおよそ9万トンのメタンガスが漏出している。メタンガスは二酸化炭素の84倍もの温室効果があるという。赤外線カメラで見ると問題のガス井から大量のメタンガスが上空に向かって舞い上がっているのが分かる。  先月末に行われたタウンミーティングには800人を超える住民が集まった。会場に入りきらなかった人々は立ち見のまま弁護団や医療、環境の専門家たちの話に聞きいっていた。3カ月以上にわたり漏出をくい止められないガス会社への憤りは今住民たちの間で頂点に達している。  米史上最悪の環境災害となった今回の事故を米主要メディアはもちろん、フランスなど欧州各国のメディアも事の重大さを伝えている。  地元政治家たちが出席する中、翌日行われた加州当局の公聴会にはドイツのテレビ局も取材に来ており、環境問題への関心の高さ、そして住民の健康面への影響が世界的に問題視されていることを伺わせた。  ポーターランチで生涯を暮らそうと家を購入した人々にとって、自宅がガスに汚染され、鼻血や嘔吐など健康被害に苦しめられるとは想像だにしなかった事態だ。転居希望を申請したまま実現していない家族は約2500世帯ある。今も施設周辺では犬の散歩やジョギングをする人、公園でバスケットボールをする子どもたちの姿があった。  同施設ではもともと油井として使われていた井戸を1970年代からガス貯蔵用として活用している。中には50年代に作られた井戸もあり老朽化が懸念されている。施設内にはこうした井戸が115基あるのだ。損傷したガス井は氷山の一角に過ぎないのか。老朽化した井戸がこのまま使われ続けたとしたら。不安と隣り合わせの中、住民はこれからどんな思いでポーターランチの将来と向き合えばいいのだろうか。【吉田純子】

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