世界エイズデー:LA市のHIV感染2万6千人超
エイズへの理解と支援の意思を示すため世界エイズデーのシンボルとなった「レッドリボン」がホワイトハウスにも飾られた=1日
エイズのまん延防止や感染者に対する差別や偏見の解消を目的に世界保健機関(WHO)が1988年に制定した「世界エイズデー」を1日に迎え、LA市はHIV感染者の2002年から12年の10年間の推移をまとめた統計結果を発表した。統計によると、12年12月末日の時点で同市のHIV感染者は2万6674人であったことが分かった。
調査は同市が運営するAIDS Coordinator’s Office(ACO)が実施した。 12年の同市のHIV感染者(HIVに感染したがエイズを発症していない人)を人種別にみるとラテン系がもっとも多く1万809人(02年は6247人)、次いで白人で8797人(同6612人)、黒人が5808人(同3860人)、アジア・太平洋諸島系が731人(同360人)、ネイティブアメリカンが142人(95人)、そのほかの人種が387人(同249人)で、いずれも増加していた。 HIV感染者を性別・性的指向別にみてみると、12年の調査でもっとも多かったのはゲイ・バイセクシャルのラテン系で8962人、次いで同白人が8219人、同黒人が4329人、ラテン系女性が1248人、黒人女性が1029人、ゲイ・バイセクシャルのアジア・太平洋諸島系が644人、ラテン系男性は599人、黒人男性が450人、白人女性が373人、同男性が205人、ゲイ・バイセクシャルのネイティブアメリカンが118人、アジア・太平洋諸島系の女性が63人、同男性が24人、ネイティブアメリカンの女性が15人、同男性が9人だった。 年代別にみると、12年の調査でもっとも多かったのは40代で1699人(02年は1297人)、次いで50代で1668人(同747人)、30代が796人(同949人)、60代が530人(同148人)、20代が330人(同202人)、0〜19歳までが12人(同17人)で、50代の感染者が著しく増加していた。 統計結果をまとめると、HIV感染者の85%がゲイ・バイセクシャルの男性で、10年間の推移をたどると、20代のラテン系と黒人男性の間で感染者が増加していることが分かった。 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とは免疫の働きを助ける細胞に感染し、破壊するウイルスのことで、HIVに感染し発症する病気をエイズ(後天性免疫不全症候群)という。HIVに感染した時点でエイズを発症する訳ではない。感染経路として母子感染や、血液感染、性感染があげられている。HIVは感染力が極めて弱いウイルスで、日常生活で感染することはない。 疾病管理予防センター(CDC)によると、HIV感染は1981年に全米で初めて、ロサンゼルスで5人の感染が確認された。以降LA市では4万7623人がHIV感染と診断され、2万465人がエイズで死亡している。 LA郡公共衛生局が13年に行った統計によると、同年のLA郡全体のHIV感染者は4万7148人、エイズ患者(HIVに感染しエイズを発症している人)は2万7314人。同郡のエイズによる累計死亡者数は3万4281人、カリフォルニア州全体は9万5032人、全米では62万0048人だった。また全米には現在、115万5792人のHIV感染者がいると報告されている。 先月には映画俳優のチャーリー・シーン(50)が4年ほど前からHIV陽性であったことを公表し話題となった。 CDCによると、全米で15・8%の人がHIVに感染していることに気づいていないという。エイズに関する正しい知識を身につける啓発活動の一環で、ACOでは無料のエイズ検査や各種教育プログラムを実施している。【吉田純子】
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