伝統絶やさずピクニック開催 :奨学生と短期留学生を紹介
バナーを掲げて集合写真に納まる南加福岡県人会の会員ら
南加福岡県人会(宮里勝吉会長、会員数290人)がこのほど、夏季恒例のピクニックをラ・パルマのセントラルパークで行った。100人以上が参加し、バーベキューやポットラックの料理を味わいながら夏の休日を楽しんだ。
好天に恵まれたこの日。会長の宮里さんはあいさつで、「昨年、この場所で創立110周年を皆と一緒に祝った」と振り返り、「100年前の娯楽の少ない時代に当時の会員らはピクニックを始めた。その伝統を絶やさず、日系社会全体でがんばっていこう」と力を込めた。
在日本総領事館の松尾浩樹首席領事、南加日系商工会議所の川田薫会頭が来賓代表で祝辞を述べた。
同県人会は毎年、大学進学予定者への奨学金授与を恒例としている。この日授与されたのはトーレンスのウエスト高校をこの夏卒業し、エル・カミノ大学に進学するジャスティス・飛馬・パクストンさん(17)。 パクストンさんは高校陸上トラック競技でサウスベイ2位、極真空手では優勝経験があるなど、文武両道の日系2世。
同県出身の母、恵利子さんと共に、奨学金申請を宮里会長に相談。締め切り間近だったが、会長に背中を押され願書を提出した。パクストンさんは「奨学金を用いて大学生活の準備をする」と話した。
福岡県への短期留学を写真で報告したカトウさんとカワカミさん
宮里会長は奨学生の選定について「学業、コミュニティー活動、県人会との係わり、進学への抱負及び将来の進路などを考慮した上で決める」とし、「全ての項目に優れていれば推薦する。一つがずば抜けて優秀であれば、その人の才能を伸ばすためにも推薦対象とする場合がある。青年の才能を見出すのもわれわれ大人の、県人会の役目」と説明した。
この他にも県人会の取り組みとして、11歳を対象とした県主催の県費短期留学プログラムへの選考がある。このプログラムに参加した2人の女子児童が体験を報告した。
持ち寄った料理を皿に盛る参加者
キャサリン・マサミ・カトウさんとソフィー・マナミ・カワカミさんは引率者の広中恵さんとともに7月上旬に福岡入りした。世界9カ国、12県人会から集まった40人の留学生が一つの宿泊施設で寝食を共にした。小学校2校を周り、福笑いや羽子板、本物の竹で水鉄砲を作るなど日本文化を体験した。 カワカミさんは「給食、掃除の習慣や校庭がアメリカと違っていて印象に残った」という。太宰府市で参拝した神社では、
バーベキュー係の男性陣
「梅ヶ枝餅」を手作りし試食。「私の餅は焦げて色も形も悪かったけど、おいしかった」とカトウさん。さまざまな国から福岡に集まった同年代の児童との交流は、2人にとって忘れられない思い出となった。
宮里会長は「親を離れての日本行きは、どの子弟も不安だらけ」だが、2週間の短期留学を終え経験を積んだ2人をロサンゼルス空港で出迎えた際には「大人に見えた」という。
同県人会は世代ごとの会員数のバランスが取れているためか、活気がありチームワークもしっかり取れている印象。それぞれの係のリーダーシップが十分発揮され、ピクニック全体がスムーズに流れる。
宮里会長は「早朝より準備に大勢が駆けつけてくれ、汗を流しながら会場作りに自発的に働く姿を見て『これぞ福岡県民魂』だと胸が熱くなった」と語った。
ドーナツ食い競争に参加し、大きく口を開ける男児
恒例のお楽しみ運動会では、ドーナツ食い競争、水風船投げなどに大人も子供も精を出し大盛り上がり。福岡ならでは辛子明太子などの当たるラッフル抽選を楽しみ、同郷人とふれあう夏の1日を終了した。【麻生美重、写真も】
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