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Writer's pictureRafu Shimpo

住民代表し立ち上がった日系女性…ガス漏出事故④

施設全体の閉鎖を求める請願書をブラウン加州知事に近日提出するポーターランチの住民と日比野さん(前列左から2人目)。これまでに4万人を超える署名が集まった

施設全体の閉鎖を求める請願書をブラウン加州知事に近日提出するポーターランチの住民と日比野さん(前列左から2人目)。これまでに4万人を超える署名が集まった

 「これほどまでのガス漏出は見たことがない。恐らく今まで見た中で最大規模だ」。環境問題に取り組むNPO「EarthWorks」のメンバーが初めて赤外線カメラでSoCalGas施設のガス漏出の様子を撮影した時、思わずこうつぶやいた。肉眼では見えないメタンガスを赤外線カメラで捉えた映像は事態の深刻さを物語っていた。【取材=吉田純子、写真も】

 昨年10月23日の事故発生から3カ月以上が経過した今月11日、同社は暫定的にガス漏れが停止したと発表した。翌12日、NPO「Save Porter Ranch」を立ち上げた日系女性、日比野恭子さんはバーバラー・ボクサー連邦上院議員(加州・民主党)と面会していた。  この日ポーターランチを訪れたボクサー氏は、住民側の代表者らと会い、直接住民と対話した。住民側からは日比野さんを含む9人が出席。日比野さんらは住民が抱える健康や環境問題への懸念や、施設の閉鎖を望む住民の声をボクサー氏に伝えた。  「ボクサー氏は、住民にガス会社に対する信用がないこと、今のままの状態で自宅に戻ることに不安を抱えていることに理解を示していました」  これまでに漏出したメタンガスの量は推定9万6千トン。鼻血や喉の痛み、頭痛などの健康被害が相次いで報告され、多くの住民が自宅を離れ転居先で避難生活を送った。3カ月以上にわたり噴出したメタンガスが今も大気中に漂っていることを懸念する住民からは、「たとえ漏出をくい止められても、大気汚染の調査を行い、安全性が認められるまで戻ることはできない」と不安の声が聞かれる。  この日、住民側の意向を聞いたボクサー氏は、ガス会社と石油や天然ガスなどのエネルギー資源の安全性を取り締まる加州機関「Division of Oil, Gas and Geothermal Resources(DOGGR)」だけではなく、連邦機関である環境保護庁(EPA)や南カリフォルニア大気環境管理局も調査を実施し、住民の家の中まで検査をする必要性があると訴えた。  1950年代に作られ老朽化と安全性が問題視されているガス貯蔵井戸が施設内に多数あることもポーターランチの住民の不安材料となっている。  こうした中、日比野さんらは施設全体の閉鎖を求める請願書を加州のジェリー・ブラウン知事に近日提出する予定だ。ポーターランチの住民だけでなく全米からも支持者が集まり、これまでに4万人を超える署名が集まった。  建築デザイナーである日比野さんはフルタイムで本業をこなしながら夜や休日にミーティングや公聴会などをこなす。「事故後生活は一変しました。でも誰かが立ち上がらなければ住民たちの本当の辛さや苦しみは伝わらないのです。ポーターランチの住民の多くが念願の場所に住めた喜びに溢れて生活していました。大好きだった自分の家、自然にも恵まれた美しい環境がガスに汚染されてしまった。すべてが崩れ去った―そんな心境なのです」。日比野さんと住民の戦いの日々は続く。

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