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Writer's pictureRafu Shimpo

創立75周年記念し吟詠大会:荒國誠流宗家が来米、盛大に祝う

大会顧問の摺木國正氏(右)の音頭で創立75周年を祝い乾杯する参加者

 羅府國誠流詩吟会(下前國信会長)の創立75周年記念祝賀吟詠大会がこのほど、トーレンスのマリオットホテル・ロサンゼルスエアポートで開かれ、来賓や会員ら300人以上が祝福に訪れた。日本國誠流詩吟宗家の荒國誠氏が家族を伴って来米し、節目の年を共に祝った。会場には國誠流の吟詠が朗々と響き渡り、吟士らは研さんを重ねた成果を余すところなく披露した。【麻生美重、写真も】  1942年、マンザナ日系人強制収容所で先代宗家荒國誠氏の指導によって開かれた同詩吟会は、収容された日本人や日系人の余暇の楽しみとして続けられ、現在はLA地区の17教室で活動を続けている。  同会の75周年は、昨年東京で催された荒宗家の2代目襲名20周年記念大会と重なったため1年延期し、このたび満を持しての開催となった。全米各地はもとより、カナダ、ブラジルからも会員らが集まり、数年おきに会う仲間たちと心を通わせた。。

広瀬武夫の「正気の歌」を力強く詠じる吟士

 下前会長は、マンザナの「あの場所に居合わせた誰が、羅府國誠会75周年を迎える今日この日をうかがい知れたでしょうか」と、あいさつ文の中で恩師や先輩らに思いを綴っている  午前9時に始まった第1部から最終の第5部まで、昼食と夕食をはさみながら詩吟三昧で会は進んだ。  第3部には荒宗家の企画構成による構成吟「西郷南州」が披露された。野宮國湘範士と小野木國夢範士による西郷南州「書懐」に始まり、仲島國彩練士、仲島國和範士による「獄中感有り」、飯田國隼練士は徳富蘇峰の「京都東山」を吟じた。南州の人となりを表した「偶成」を吉元國(禮)範士が、「遇感」を田村國芳練士が最後までじっくり吟じ上げた。  杉目國佳練士による「田原坂陣営の作」、摺木國賢教士、山本國勇範士による「吉祥峠の戦い」、河野國光範士による「城山」、多和國心練士による「古城」と続き、最後は広瀬武夫作「正気の歌」。「憂憤身を投ず薩摩の海」国と主君への忠義を貫いた南州への思いを日清・日露の海軍軍人広瀬中佐が詠んだ。これを蓮子國欽教士、河野國剛教士、高橋國洲教士、苫谷國壮教士が朗々と詠み、構成吟の最後を飾った。  若手の尺八奏者、鹿子畑翔士氏による伴奏、少林寺拳法サウスベイ支部の上熊徹保氏、マイケル・フレンチ氏による演武、當流・若宮翠寿綾氏の剣舞、花柳藤野恵氏による詩舞、そして上杉國康氏による情感溢れるナレーションが、時代背景の表現に効果をもたらした。

範吟を朗々と歌い上げる荒國誠流宗家

 来賓と師範による吟詠が続き、最後に荒宗家による範吟「漢詩一題」が場内に響き渡った。「詩を理解するために時代を理解する。それが表現へと結びつく」こう語る荒宗家は國誠流の継承者として羅府國誠会の吟士に感想を残した。「國誠流の訡法をよく用いて練習を積んでいる。みなさん素晴らしい出来栄えです」  来年はハワイやバークレーの支部が60周年を迎える。下前会長は減少が進む詩吟人口に寂しさを覚えながらも、会員らが一丸となり羅府國誠会を継続していくという思いを静かに語った。  小野木國尋大会実行委員長は、2年おきに行われる大会の準備に奔走してきた。  75周年を一区切りとしながらも、同会の存続を見据え、会員数をどう伸ばすかなどの課題もある。羅府國誠会は100周年へ向け、また新たな一歩を踏み出した。【麻生美重】

構成吟「西郷南洲」を終え、あいさつするメンバーら


羅府國誠流詩吟会の75周年を祝った会員ら

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