加州:入学前の子ども、はしかの予防接種を義務化
今年はじめにカリフォルニア州ではしかが流行したことを受け、加州議員が個人の信条を理由に保護者が子どもの予防接種を拒否することが許されている現在の加州法の改正を求める法案を提出。30日にジェリー・ブラウン知事が同法案に署名した。今後加州では子どもへのはしかの予防接種が義務化されることになる。
同知事は「予防接種が子どもをはしかなど危険な病気から守ることは科学的にも証明され、感染予防に有効であることは明らかである」と述べ同法案に署名した。 州法の改正を提案していたのはリチャード・パン加州上院議員(民主・サクラメント選出)と、以前サンタモニカ・マリブ統一学校区の理事会メンバーを務めていたベン・アレン同州上院議員(民主・サンタモニカ選出)。 昨年12月15日から20日の間にオレンジ郡アナハイムにあるディズニーランドを訪れた観光客の間ではしかが流行し、被害は今年に入りさらに拡大。感染者は他州にまで広がり、150人を超えた。 背景には、感染者に予防接種を受けていなかった患者が多くいたことがあげられる。1961年から個人の信条などを理由に保護者による子どもへの予防接種の免除措置がとられ、これにより現在加州では予防接種を受けていなくても、学校への入学が許可されている。 一方でロサンゼルス郡公共衛生局によると、予防接種を受けていない人がはしかウイルスに接触すると90%の確率で発症するという。 子どもへの感染拡大を防ぐためにも、個人の信条を問わず、入学前の予防接種の義務化を州法で定めることを両議員は求めていた。ただし法案には、子どもに健康上の問題や深刻な疾患がある場合には例外措置が適用されることも明記されている。 ミシシッピ州とウエストバージニア州ではすでに個人や宗教上の理由から予防接種を拒否することが州法で禁止されている。 法案は5月に加州上院で24対14の賛成多数で可決され、先週には加州下院でも46対31で可決され、29日に同知事のもとに送られていた。 反対派は同法案が親の権利を侵害するとして同知事に拒否権を発動するよう求め、5万人分の署名を集めていた。予防接種と自閉症の関連性を示した論文が過去に発表されたことも反対派の意見に影響を及ぼしているとされる。 しかし米疾病管理予防センター(CDC)は予防接種と自閉症との関連性を否定しており、予防接種を受けるよう保護者に呼び掛けている。 一方、米国小児科学会や加州PTA協会、加州小児科病院協会など加州の医療・教育関連機関は同法案を当初から支持していた。 カリフォルニア公共政策研究所が今月はじめに実施した世論調査によると、加州に住む成人の67%、公立学校に通う子どもをもつ保護者の65%が同法案を支持していた。 同法案は16年7月1日から施行される。
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