北米から訪日客100万人:感謝を込めて、達成祝う
外国人旅行者を誘致する日本政府の事業で、昨年2015年度の北米からの訪日客数は、過去最高となる100万人を初めて記録した。日本政府観光局(JNTO)ロサンゼルス事務所(太田吉信所長)は、その大台の達成に貢献した地元の旅行業界から関係者約130人を招き、感謝の気持ちを込めた祝賀会を8日、全米日系人博物館で催した。
訪日者数100万人達成の協力に謝意を表する太田所長
イベントであいさつに立った太田所長は、訪日促進事業に対する旅行業界の変らぬ支援に謝意を表した。昨年、世界からの訪日旅行者数について説明し「その総数は2千万人(1973万7400人)に迫り、前年比で47・1%増え、この伸び率に驚いている」と述べた。そして、米国からの訪日者数は、首位の中国から順に、2位韓国、3位台湾、4位香港に次いで多く「世界第5位で、全体の5%を占め、日本にとって、米国市場は遠距離の国々の中で最大である」と強調した。「アメリカからの訪日旅行者の数が100万人を超え、1964年の統計開始以来、最高を記録した。この信じられない数字を達成できたのは、長年の旅行業界の方々のおかげである」とたたえた。
太田所長は「100万人達成のマイルストーンは過ぎ、次のゴールである米国から120万人、全世界から2千万人に向け再出発を図る」と意欲を示した。日本には、国立公園の美しい景色や地方の伝統的な文化や魅力的なユニークな観光地があるとし、その紹介に努める参加者の代理店やメディアなどに向け「みなさんのビジネスの拡大に協力するために最大限尽したい」と語り、訪日促進のパートナーシップの継続を希望した。
堀之内秀久総領事は、「アメリカからの訪日客が100万人に達し、業界関係者のみなさんの尽力に感謝したい」と話した。当地に着任する2年前に関係者から、訪日米国人の数は年間平均80万人で「成熟した市場なので増やすのには限界がある」と説明を受けたという。だが「私はそのことを信じなかった。昨年は100万人に到達した。すばらしい」と喜んだ。「これで満足してはならず、200万人、300万人を目標にしよう」と呼びかけた。
世界を旅して回り、著書「死ぬまでに1度は行きたい世界の1000カ所」を持つ、旅行作家のパトリシア・シュルツさんが基調講演を行った。同書は、日本語を含む25カ国語に翻訳され、日本は第2版「アジア・アフリカ編」の中で12カ所が紹介されている。
シュルツさんは講演で、日本について「国土はカリフォルニア州よりも小さいが、見どころが多い。伝統と現代、自然と人工が融合し、人々は優しい。発見するものが多くある」と紹介。「円安に伴い物価が安く、航空運賃も手頃になっている。東京オリンピック開催までに行く価値がある」などと、話した。
同LA事務所は訪日客の誘致で、ロサンゼルス、サンディエゴ、オレンジ郡の旅行会社を対象としたセミナーを実施するなど、主に業者を相手に販売促進を支援するほか、メディアに対してもプロモーションを展開する。
訪日者数100万人達成の協力に謝意を表する太田所長
ゲストのリサ・ナイバーさんは、フリーランス作家。すべてのジャンルをカバーし、旅行記事はUSAトゥデーなど主要な新聞、雑誌に寄稿し、旅した先々でビデオに収めてYouTubeで公開しているという。訪日は10年ほど前に、クルーズ会社に勤めていた頃の仕事で、同僚3人で京都と大阪を訪れたことがあり「とても美しい町だった。電車に乗って旅して回り、道に迷った時に、人々が優しく教えてくれ思い出深い」と振り返った。この日のイベントでは「日本についてたくさん習った。名所の紹介が多く、将来の執筆のために役に立った」と語った。
太田所長は、訪日客における米国市場について「欧米諸国の中でアメリカが他をかなり引き離している。日本からのアメリカに対する期待は大きく、西海岸は最も大きいマーケットなので、引き続きプロモーションの強化を図り頑張っていきたい」と抱負を述べた。訪日する米国人が求めているのは文化体験だとし「アメリカにはない日本の伝統文化などを紹介したい」と意欲を示した。
同イベントには、航空会社や旅行代理店に加え、中国、韓国、マレーシア、フィリピンの各国の政府観光局を招いたことに関し、太田所長は、日中韓で観光目的の連携協定が結ばれているとし「日本の近隣諸国はライバルではなく、協力するパートナーである」と強調、当地でもコラボレーションに力を注ぐという。【永田潤、写真も】
昨年の訪日客数100万人達成を祝い、乾杯する参加者
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