南加詩吟連盟が吟初め:新理事長に仁尾田氏
記念撮影する南カリフォルニア詩吟連盟のメンバー(同連盟提供)
記念撮影する南カリフォルニア詩吟連盟のメンバー(同連盟提供)[/caption] 1990年に発足し、現在6団体で構成される南加詩吟連盟(仁田尾国康理事長、会員数250人)が3日、新年総会と吟初め、親睦会をトーレンスのミヤコハイブリッドホテルで催した。2019年度からの新理事長と各流派からの副理事長が紹介され、新体制の船出となった。【麻生美重、写真も】
連日雨の週でこの日も足元はぬかるんでいたが、会には87人が参加。 錦友会の重川昭水さん先導により連盟会詩を合吟し、「吟を研く」志を新たにした。
承認を受け大きな拍手を贈られる仁田尾国康理事長(左から2人目)と各流派の新副理事長
錦友会、尚道会、国風会、錦龍会、國誠会、国総会による連盟を第14代理事長として牽引してきた前田龍水さんは「会員の減少と高齢化により、一流派単独の連盟運営は困難。昨年の理事会で決定した『挙国一致=6流派一丸』で運営していく制度の初年を迎えた」とあいさつ。「この制度の下であれば、たとえ会員が1人になっても所属流派名で連盟の活動に参加できる」と述べ、新体制移行への取り組みにエールを送った。
仁田尾新理事長は「前田さんらが決めて取り組んできたことを踏襲し、精いっぱい続けていくのみ」と決意表明。これから2年間の任期を全うすることを誓った。
各流派代表の吟詠に聞き入る参加者
同連盟によると、詩吟は日本の伝統的芸能文化で、江戸時代後期に一部の私塾や藩校において漢詩や和歌を素読する際に、独特の節を付して吟じたことが今日の詩吟のルーツと言われている。また、同連盟はこの伝統芸能文化を米国に広め、次の世代に末永く継承していくことを目的としており、「私どもの活動が米国で対日理解の促進に少しでも献上できれば」と日夜勉強に励んでいる。
代表吟詠では、錦友会から斎藤志水さん「大石良雄」、佐藤溟水さん「弘道館に梅花を賞す」、尚道会から土田国明さん「金州城」、大迫国浄さん「岩崎谷の洞に題す」、錦龍会から江夏慶雲さん「暁に高千穂の峰を望む」、新沢鹿龍さん「吟魂」、国風会から中川國修さん「無心」、荒木國漳さん「千島慕情」、国誠会から高橋国洲さん「九段の桜」、西川国順さん「子規を聞く」、国総会から中村総登さん「事に感ず」、金瀬錦雅さん「新年を祝う」が、それぞれ吟じられた。声質や声量、演出方法の違いにより、どの吟詠もすばらしいが印象が全く異なる。共通するのは、日ごろから知識を蓄え、発声のトレーニングや練習を積み上げている点だろう。
カラオケで「津軽海峡冬景色」を熱唱する興呂木良子さん(左)と進行役の斎藤鮭水さん(中央)、丸尾咲水さん(右)
漢詩の世界を想像しながらまぶたを閉じてじっと聞き入る会員や、朗々と流れる節に合わせ、体や指先をゆらす姿も目に入った。 会員数最多の錦友会は47人が出席。年齢層も幅広く、入会の目的も会員によってさまざま。同会の丸尾咲水さんは「仕事とは関係ない、人とのつながり」を作ることが入会当初の目的の一つだったという。「そのうちフェードアウトしようかなと思っていたけれど7年経った」と笑う。今では余興のカラオケの進行を任され、同会の吟友の斎藤鮭水さんとコスチュームに身を包んで場を盛り上げるほどに。元副理事の末廣正水さんは「詩吟の会では60代は『若者』です。若い人にどんどん参加してもらいたい」と積極的にアピールした。
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