国際試合で貴重な経験積む:日本選手「将来に役立てたい」
健闘をたたえ合う、日米両国の選手
昨年、日本で野球殿堂入りした元大リーグ投手の野茂英雄さんが総監督を務める「ジャパン・ジュニア・オールスターチーム」が8月22、23の両日、コンプトンのエルカミノカレッジ内のアーバンユース・ベースボールアカデミー(UYA)で行われた「日米親善ジュニア野球」に参加した。4試合を戦い全勝を収めた選手16人は、初の国際試合で貴重な経験を積み視野を広げ「将来に役立てたい」と誓った。
力投する根尾昂投手(飛騨高山ボーイズ)
日本チームは、野茂さんが理事長を務める社会人野球チーム「NOMOベースボールクラブ」(清水信英監督)が運営し、将来有望な中学3年生の選手に国際経験を持たせる目的で毎年、夏休みに米国遠征を実施、今年で7回目を数えた。
日本選手は、来春の高校進学は強豪校に絞っており「甲子園に出て優勝したい」。そして「プロ野球選手になって、ワールド・ベースボール・クラシックで世界一になりたい」などと、志を高く持つ。過去の同大会の参加者は、西武の森友哉選手をはじめ、今夏の甲子園大会には優勝校東海大相模などから6人が出場するなど、同選抜チームの実力の高さを物語っている。
訪米団の中谷恭典団長(ボーイズリーグ理事)によると選手は、野茂さんと親交が深いドジャース時代のオーナー、ピーター・オマリーさんから歓待を受けたという。ビバリーヒルズのステーキハウスでご馳走になり、さらにサンディエゴ・パドレスの本拠地球場に招かれ、フィールドで練習の見学を許された。観戦はスイートルームで行い、選手は「いつかは、アメリカでプレーしたい」などと、夢を膨らませた。
得点を喜ぶ日本選手
中谷団長は「子どもたちは毎年、野茂さんのクラブから本当にいい経験をさせてもらっている」と謝意を表す。選手に向け「それぞれがチームに帰って、アメリカで視野を広げ学んだことを伝えて、日本の野球界の発展のために頑張ってもらいたい」とエールを送った。
大会は、日本チームが実力を発揮し、UYAに13—1、7—1、米西海岸代表とは11—1、10—2と圧倒した。オフシーズンの米チームは、若干の準備不足が感じられた。
播田大和主将は、米チームと初めて対戦し「選手は体格が大きく、打撃で詰っても押し込むことができるパワーがあった」と認める一方で、「細かい技術では日本も劣ってはいないと思った。全国から集まったすごい高いレベルの選手とプレーできてよかった」と話した。野茂さんについては「すごく的確に指示を出してくれた。(点差が開き)士気が下がった時などに『しっかりプレーするように』と教えられ勉強になった。アメリカに連れてきてもらい、とても感謝している」と述べた。大リーガーの練習を間近で見学し「パワーが全然違ったので驚いた。選手のみんなが『大リーガーになる』と目標を持ったと思う」と刺激を受けた様子で、メジャー志向を抱いた。
二塁盗塁を決める戸高洋希選手(都城ボーイズ)
野茂さんは遠征を総括し、全体練習が1日しかなく、個々の実力を見極める時間が取れなかったというが「4試合すべて勝つという目標を果たすことができてよかった」と喜び、選手に対しては「試合と、オマリーさんとの食事会、大リーグ観戦など、経験したことを生かしてほしい」と希望。米遠征のプロジェクトについては「子どもたちに何かしらのインパクトを与え、それぞれに(野球に対する)考え方を持ってもらいたいのでやっている。(その結果は)早くて15年、20年経たないと分からないので、この選手らに活躍してもらいたい」と期待を寄せた。【永田潤、写真も】
大会を終え、UYAチームのコーチ(左)と笑顔で握手を交わす野茂さん
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