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Writer's pictureRafu Shimpo

圧巻・島根の足立美術館

 春、島根県は安来に足立美術館を訪れた。圧巻の一日となった。  岡山から宍道湖経由で出雲に足を伸ばし、昨年高野山と伊勢神宮に参った続きで、数十年ぶりの出雲大社往訪の念願を果たした。さらに松江城、そこからお堀沿いの小泉八雲の旧邸などを巡ってから安来に移り一泊、翌朝訪れた足立美術館がクライマックスとなった。  安来駅から車で30分、遠く山々を望む緑一面の平原と川の近くに足立美術館は大庭園の中、白い個性溢れる館として展開する。歩くだけで気分よく楽しい。  まず作品。横山大観、榊原紫峰、川合玉堂、橋本関雪等巨匠たちの素晴らしい日本画の数々には釘付けにされ容易に次の画へと動けるものではない。これら大型作品は人の想像力を遥かに越える美意識、個性、感性、構図の壮大さ、研ぎすまされた繊細な筆致、神々しいまでの色彩感覚、優雅さと荘厳さを僕らの目に放ち、世界の諸絵画を凌駕する高度な美の世界と感じた。仏印象派もルネサンスも問題にならない。幾らでも絵の具を塗り重ねられる西洋画とは違う。印象派の巨匠たちが日本画にこぞって魅せられ夢中になったのも然もありなんと納得した。  別分野で北大路魯山人の文と陶芸もあり、食文化を深く極め続けた文人の世界に引き込むものだった。  特筆は、足立美術館の広大な日本庭園は京都の桂離宮、二条城二の丸庭園、福岡大濠公園など日本全国約900の名園を押さえて13年連続で日本庭園ランキング1位を続けている。四季ごとに色と趣を変えるこの庭園自体も作品の一つと意図して、創設者足立全康が作った日本一の大美庭だ。  足立美術館は明治、大正、昭和を生き、ゼロから刻苦で大成した実業家足立全康が、私財を投げ打ち人生を賭け膨大な名画を集め、故郷に広大な土地を買い美術館を建設し創設したものだ。回りにビジネスが建って俗化しないようにと必要の3倍規模の土地を買った。美しく広大な緑の自然以外に何も無い。遠くの山々が広く美しい庭園の自然の借景になっている。素晴らしい。創設者足立全康に感謝と尊敬の念を捧げる。【半田俊夫】

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