大日本農会:グレン田中氏に緑白綬有功章
千葉明総領事(右)から表彰状が手渡されたグレン田中氏
大日本農会(総裁・秋篠宮文仁親王殿下)の農事功績者表彰の南加受賞者に対する伝達式が11月30日、ハンコックパークの在ロサンゼルス日本国総領事公邸で行われ、今年はオレンジ郡にある田中農園を経営するグレン田中氏に「緑白綬有功章」と賞状が千葉明総領事から手渡された。【吉田純子、写真も】
田中農園は広島県からカリフォルニアに移民としてわたってきた田中てるお氏が1940年に設立。その後、2代目のジョージ氏が引き継ぎ、現在は3代目のグレン氏が妻のシャリー氏と息子のケニー氏とともに経営している。
30エーカーの広大な敷地でいちごやトウモロコシ、スイカ、カボチャなど野菜や果物各種を栽培し販売している。
同農園は2011年3月11日に発生した東日本大震災後、毎年6月に震災で被害を受けた農家を支援するためのチャリティーイベント「Walk the Farm」を開催。日本の農家に「希望」を届ける目的で始まった同イベントは、オレンジコースト・オプティミストクラブ(OCO)と共同で行っており、イベント参加者は農園内を散策しながら、新鮮な野菜や果物が試食できる。
農園の至るところに被災地の様子が分かる写真が展示され、東北の現状を伝える取り組みを実施し、毎年およそ2千人が訪れ、入場者の参加費用を被災地に全額寄付している。
また近年では、消費者が直接農家から購入する新しい農業システム「CSA(地域支援型農業)」にも作物を供給。教育プログラムにも力を入れており、毎年春から秋にかけて、小・中学生を農場見学に招待し、農業の学習指導のほか、農業後継者の育成にも務めている。
さらにハローキティなどのキャラクターで知られるサンリオと提携し、年間を通してコラボレーションイベントを開催。ハローウィン用のかぼちゃを販売する「パンプキンパッチ」ではハローキティやけろっぴ、チョコキャット、マイメロディ、ポチャコなどのサンリオキャラクターが描かれたカボチャや看板、カカシなどが農場の至る所に置かれ、来場者を楽しませた。
受章をうけ田中氏は「とても名誉な賞を頂き感激しています。これもすべてコミュニティー、家族、友人のサポートのおかげです。農業を続けていくのは大変なことです。教育プログラムのほか、訪れた人を楽しませるイベントを各種実施するなど、われわれもさまざまな挑戦をして今に至っています。これからも地域コミュニティーに貢献できるような取り組みをしていきたいです」と話した。
大日本農会は、明治14年(1881年)に日本の農業、農村および農民の進歩・改良を目的として創設された団体。明治27年(1894年)より、農事功績が顕著な農業従事者に対し紫白綬有功章、紅白綬有功章および緑白綬有功章の3種類の有功章が授与されている。
祝福に訪れた出席者とともに記念撮影するグレン田中氏(前列左から5人目)
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