大統領選挙方式の盲点
各党の大統領候補者が絞られた。いよいよ次は11月の本選挙だ。 大統領は国民の直接投票による多数決で選出されるのではない。現行は総数538人の選挙人(議員総数+ワシントンDCの3人)の過半数(270人)を獲得した者が新大統領に就任する…という間接投票方式である。 人口比により各州の選挙人数が割り当てられる。最多数は、カリフォルニアの55、そしてテキサス(38)、ニューヨーク(29)、フロリダ(29)が続く。メイン(4)とネブラスカ(5)以外は勝者独占総取(Winner-take-all)だ。 人気得票総数では勝つが、この選挙人団方式で負ける例をあげよう。A、B、C、D、Eの5クラスに21人ずつ生徒が在籍(総数105人)。各クラス選挙人を(1)とする。MaryとJohnの二人が生徒会長に立候補。まず各クラスごとに投票し、多数決の候補がそのクラスの選挙人を獲得。つまり5クラスの内3つを獲得すれば就任できる。結果は: A Mary 21、John 0 B Mary 21、John 0 C Mary 10、John 11 D Mary 10、John 11 E Mary 10、John 11 総数:Mary 72、John 33。 人気投票ではMaryが圧勝だが、C、D、Eの3クラスはJohnを選出したためJohnが就任した。実際に2000年、アル・ゴア候補は、総得票数ではG・W・ブッシュに勝ったが、この選挙人団方式で惜敗した。 直接人気投票に修正を主張する声もある。歴史的に大抵の州は、すでに民主党か共和党にほぼ確定している。マサチューセッツ、ミネソタ、カリフォルニアは民主党へ、アラバマ、アラスカ、アイダホは共和党、という具合だ。 激戦が予測されるオハイオ、フロリダ、バージニアなどの結果が影響するため、そのスイング・ステート(揺れ動く州)に集中して選挙運動を行う傾向が強くなってしまっている。また1票の比重が州により異なる点も指摘する。 そもそも選挙人団方式は、民意を各州に反映され、その州が代表を決めることで民主主義を謳うものだ。どちらが公平? 選挙人団制度の修正、廃止には、議会が憲法修正法案を承認する必要がある。過去に700案が提出されたが200年間一度も可決したことはないらしい。【長土居政史】
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