子どもたちのために
新学期がちょうどスタートし、子どもたちが学校に戻った。来週から2学期が始まる日本では、焦りながらギリギリになって宿題に取りかかり、滑り込む生徒も多いことだろう。そのほとんどが、真っ黒に日焼けした顔を見せ合う級友との再会を喜ぶ一方で、遊びほうけた夏休みのブランクから慣れない授業に「早く終わってくれ」と祈るなど、学校生活に適応するまで、耐えねばならない辛い期間である。 子どもたちは、その長い夏休みを最大限に利用して今年も、渡米と訪日を繰り返した。小学生から中高生、大学生までの同世代の日米の若者が、人種や性別、健常者、身障者など、分け隔てなくつき合う。羅府新報に勤めてから、このほほ笑ましい光景を何度も目にし、ライター冥利に尽きる感動を味わわせてもらっている。 交流を脇で見ていると、大人は互いをより理解しようとするためか、意思が通じなくなると、通訳に頼りがちで、その傾向は日本人に多く見られる。一方の子どもたちは、言葉が通じようが通じまいが、かしこまったあいさつは、そっちのけで「ハロー」と「コンニチハ」の言葉一つで、心を通じ合わせるのを見ていつも驚かされる。その輝く笑顔がたまらない。 アメリカ人が「ライフ・チェンジング…」などと、よく言う。これは、子どもたちに最もあてはまる「名言」に違いない。若い頃に味わう、特に異文化の中での経験は貴重で、将来の職業選択やライフスタイルに大きな影響を与える。まさに一生に残る思い出を作った子どもたちは、どんな尺度をもってしても計ることはできない、ひと夏の大きな成長を遂げたことだろう。 姉妹・友好関係を温める学校や都市、その他さまざまな団体が、国際間で草の根交流を図っている。大人同士も結構だが、やはり子どもを仲間に加えれば、交流はより活発になることは言うまでもない。 日本から来た子どもの世話をするボランティアは、たいへんな労力を要するという。無事に着いたという連絡がない、などと寂しい思いをする人もいるらしいが、頑張ってもらいたい。子どもたちのために。【永田 潤】
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