宮城県人会ピクニック:オリジナルグッズで義援金活動
今年も大盛況に終わった南加宮城県人会のピクニック。七夕飾りの前で全員集合!
南加宮城県人会(米澤義人会長)はさきごろ、恒例のピクニックを開催。汗ばむほどの陽気に恵まれたこの日、親子3世代のメンバーや県にゆかりのある人などが集まって、楽しい夏のひと時を満喫した。また、新しくデザインされたオリジナルグッズが販売され、今年も東日本大震災の被災地への義援金が集められた。遥か海の向こうの故郷を思い、その思いを行動に移していく力強さは今も健在だ。【中西奈緒、写真も】
メンバーが持ち寄った手作りの食事がずらりと並んだ
大盛り上がりのパン食い競争
モントレーパークのジョージ・エルダー公園で行われた今年のピクニックには70人ほどが集合。米澤会長はあいさつで、「今年はさらに義援金が集まるように新しいTシャツと手提げバッグを作りました。会にお金がないので、妻に頼み込んでヘソクリを出してもらいました」と話すと会場からは大きな笑いが湧きあがりアットホームなムードに。また、9月には宮城県に行って知事に直接その義援金を渡すことや、来年4月に南三陸町の被災者200人に無料で食事をふるまうイベントの打ち合わせをすることなどが報告された。
参加者全員での黙とうの後は、待ちに待ったランチタイム。バーベキューチキンや、メンバーがそれぞれ持ち寄った手作りの食事がずらりとテーブルに並んだ。後半にゲームが始まると子供も大人も大はしゃぎ。パン食い競争や綱引き、スイカ割りなどが行われて、のどかな昼下がりの公園に明るく元気な歓声が響きわたった。
また、今年も会場には二世週祭りで使う「ロサンゼルス七夕まつり」の七夕飾りがいくつも飾られて、楽しく賑やかなピクニックの風景に花を添えた。米澤会長が指揮をとって6年前に始まったロサンゼルス七夕まつりは「仙台七夕祭り」の伝統を受け継いだもので、今や七夕という言葉が英語になっただけでなく、世界各国で七夕が展示されるようになった。
義援金集めのために作ったオリジナルTシャツと手提げバッグが会場で販売された。モチーフは宮城県仙台市公式のマスコットキャラクターの「むすび丸」。
新たに制作されたTシャツとバッグのデザインは宮城県仙台市の公式マスコットキャラクターで伊達政宗がモチーフとなっている「むすび丸」。このマスコットを使用するためには6色以上でなければならずお金がかかりそうだったが、県知事に依頼してコストダウンを図り、なんとか制作にこぎつけたという。
南加県人会協議会の松岡八十次副会長は、「ここまで有言実行できる会長は少ない。七夕が始まった当初、そして今でもネガティブな意見が協議会には出ることがある。でも、意志を曲げず、説得をしてやり遂げている。彼はきちんと相手に話をして、説得して、実行して結果をだす。常に新しいアイデアを実現してそれで人に分け与えていっている。七夕がなければ県人会はマンネリ化していた」と話す。
◎若い世代に受け継がれる県人会魂
「チバ・レストラン」を経営する千葉公明さん(一番左)は子どもの頃からピクニックに参加。将来の会長候補の1人。
米澤さん夫妻の長女の息子のマシュー・ムサシ・カネモリさん(23)は「家族の手伝いをするために小さい時から毎年参加している。家族が幸せでいると僕も幸せ。僕の友人の多くは日本、中国、フィリピン、ベトナムの先祖を持つ人が多い。これからの県人会は、別の文化を持っている人たちも巻き込んでお互い自分の文化を教えあったりヘルプしあったりするのがいいと思う」と話した。 ノースハリウッドで「チバ・レストラン」を経営している千葉公明さんは、父親が経営する宮城の海苔工場が4年前の震災で流されてしまい、いまは別の親戚が工場を再稼働させたという。 「このピクニックは、わが家の夏の恒例行事。僕も小さい頃から来ているから、自分の子どもたちにも同じ楽しい思いをさせてあげたい。おばあちゃんが作ったおにぎりを食べるとか、かき氷にアンコをつけて日本的なかき氷を食べたりする経験はいいもの」と話す。「県人会ですからもっと日本の文化とかをシェアしてヤングを引きつけたい。別の日本のコミュニティーにいくと日本人ではない人も興味を持っているので、そういう人たちを集めて会を続けたい」と話し、また、「来年の3月11日に大きなイベントを開催したい。震災で被害を受けた人たちはまだ生活を立て直している最中なんだ、ということを知ってもらって、そういった人たちのことを忘れてほしくないと思う。これからもいろいろな形の支援活動をしたい」と語った。
◎若いメンバーに期待をよせる米澤会長
若い人たちを応援する米澤会長。オリジナルTシャツと手提げバッグを身に付けて記念撮影「ハイ、チーズ!」
最後に米澤会長は「若い世代の新しい意見を尊重したい。同じ人で同じことやっているとマンネリになって新しいアイデアが出なくなる。僕は千葉さんのアイデアに大賛成。宮城を愛したり七夕を愛する人だったらどんな人種の人でもどんどん関わってほしいと思う。僕はそうしたいから七夕を始めた。 これからはもっと英語中心でやってもいい。僕が英語を話すとズーズー弁が入って聞きづらいから、誰も入ってこなくなっちゃう。だから若い人にやってほしい。僕らはもう引っ込んでしまっていいんです」とちゃめっけたっぷりに、これからの希望を話してくれた。
「ロサンゼルス七夕まつり」の七夕飾りが楽しいピクニックに花を添えた。汗ばむほどの陽気でも、時より心地いい風が吹き色鮮やかな七夕をなびかせた。
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