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Writer's pictureRafu Shimpo

富士山太鼓まつり

 「日本一の富士山で、日本一の太鼓の祭典を」を合言葉に1961年から54年間、静岡県御殿場で催されてきた「富士山太鼓まつり」。今年は7月25、26日に開催され、〈われこそは〉と腕に自慢の和太鼓奏者が集まった。会場には2万2千人の太鼓ファンが詰め掛けた。  メーンイベントはなんといっても「一人打ち」。世界最大級の巨大太鼓(重量1・5トン、直径2・1メートル、台座からの高さ3・776メートル)を上半身はだかの男たちが一人ひとり打ち鳴らす壮大な太鼓演奏だ。予選には76人が参加、そのうち17人が本選に勝ち進んだ。  その「一人打ち」に今年は日系4世、ジェイソン・オサジマ氏(30=ヨーバ・リンダ在住)がチャレンジした。海外からの参加は初めてだ。  「『米国カリフォルニア州から来られたオサジマさんです』と紹介されると、観衆からは驚きの声が上がり、そしてやんやの歓声に変わりました。他の日本人の奏者に負けないくらい熱い声援を受けていました」(実行委員会事務局の一人)。審査員の評価はどうだったか。  「和のリズムという点ではちょっと足りなかったが、外国人がここまで和太鼓を叩けるというのは凄いことだ」——全員一致で「審査委員特別賞」が急きょ決まった。地元紙「岳麓新聞」はオサジマ氏の受賞を一面で報じた。  同氏はUCLA Kyodo Taikoで始めて以来12年の太鼓歴。現在は高校生のためのSAT予備校を経営するかたわら、トーレンスのAsano Taiko USでインストラクターをしている。もっとも同氏が目指すのは、世界どこでも通用する「CFA協会認定投資アナリスト」の資格。目下、猛勉強中だ。休む暇なしの毎日だが、太鼓の撥(ばち)を置くことはない。  「和太鼓は音楽と踊りとスポーツとが織りなす面妖なアートだ。奏者は太鼓と一つになって音とリズムとアクションを紡ぎ出す。太鼓は私の生甲斐(an important part of my life)。毎日、毎日、少しずつでも練習して、よりクールに太鼓を叩けるようになりたい」  今回の受賞は、オサジマ氏の和太鼓への熱い思いとたゆまぬ努力に対して、日本に眠る「ご先祖」が下さったご褒美かもしれない。【高濱 賛】

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