寒暖差アレルギー
暖房の効いた部屋から戸外に出た瞬間、思わず「寒っ!」(さむっ!)と声に出てしまう感覚は、どなたも経験しているだろう。比較的に温暖とされる南カリフォルニアの冬も、けっこう冷え込む日があり、朝晩の気温はカ氏40度前後(セ氏4〜5度)まで下がり、無意識のうちに「寒っ!」となる。 この「寒っ」という言い回しは国語辞典には載っていない。形容詞の語尾を変化させた言い方。同じような表現に「すごっ」「短っ」「長っ」「うるさっ」などがあり、話し言葉を短くする傾向の強い若い人を中心に日常的に使われている。 「寒っ!」に体が慣れていないカリフォルニアンにとって、朝晩の冷え込み、乾燥した空気、気温の寒暖差などによる体調不良が懸念されるシーズンを迎えている。 熱もなく、風邪でもないのにくしゃみが出て、鼻水が止まらない。加えて咳、食欲不振、不眠、イライラする、疲れやすい…といった症状は寒暖差アレルギーといわれ、医学的には血管運動性鼻炎というらしい。 朝、ベッドから起きた時や、暖かいところから寒いところに移動したときの温度差、自律神経の不調などが原因で発症し、的確な治療法はないというから厄介だ。 この寒暖差アレルギーの予防や症状を軽減するためにはマスクの着用が手っ取り早い方法だという。 しかし、マスクを掛けろといわれても、アメリカで大きな白いマスク姿で街中に出ようものなら、「ヒヤー、あの人は危険な伝染病にでもかかっているのか!」と白い目で見られ、避けられるのがオチ。医療現場を除けば、ほとんどマスクは着用しないのだ。 ある年の冬、初めて日本を訪れたアメリカ人の友が帰国して語るには、大勢の人が白いマスク姿で歩いたり電車に乗ったりしているのに出くわして、悪い病気が流行っていると早とちり。「こりゃー、大変なところに来てしまった」とビックリ仰天して、その場から急いで逃げ出したという逸話を思い出す。 お国柄によって、習慣も考え方も異なるのは当たり前。だから、「寒っ!」と感じて、鼻水が垂れるからといって、安易にマスクを取り出すわけにはいかないのである。マスク・アレルギーが発症しそうな寒暖差アレルギー?!【石原 嵩】
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