山火事「Thomas Fire」で自宅全焼:被災者の丸山さん一家
山火事で全焼した家の前に立つ丸山富市さん(左から)、妻の恵子さん、長女・エイミーさん、次女・クリスティーさん。右上写真は被災前の自宅の写真
全てを失った、でも前向きな姿勢失わない
12月4日の夜―。丸山さん一家は恐らく人生で最大の悲劇に見舞われた。それは山火事だった。その夜、不安や心配、恐怖といった感情が数時間の間で幾度も交差した。ベンチュラ郡で発生した大規模な山火事「Thomas Fire」で丸山さん一家(富市さん、妻・恵子さん、長女・エイミーさん、次女・クリスティーさん)は26年住んだ自宅を含め、全てを失った。
富市さんは1970年代初頭から80年にかけて、寿司シェフとしてレストランで働いていた。91年には富市さんと恵子さんはオックスナードで当時開店したばかりのレストランで運営を任され、それを機にオックスナードに移り住んだ。 2006年には日本食レストラン「O-Sabi」を開店。年間の休みは独立記念日と感謝祭、クリスマスの3日間だけ。店はいつも常連客で賑わう。 丸山夫妻は素晴らしい人生を送っていた。しかし、山火事が一家の生活を一変させた。カリフォルニア州の歴史の中で最大規模の山火事となった「Thomas Fire」は、家族の思い出が詰まった自宅を奪い去った。 サンタポーラで山火事発生後、一家は山火事を報じるニュース番組を不安な面持ちで見ていた。窓の外からは、1マイルと離れていないところで炎が燃え盛っているのが見える。 炎は次第に近くなり、風速60マイルの速さで迫ってきた。同日、午前3時半、炎は丸山さんの自宅の方角に進路を向け、一家は避難を余儀なくされた。 一家はすぐに自宅に戻れると思っていた。しかし、自宅付近で撮影されている山火事の様子を伝えるニュースを見た時、愕然とした。映像には全焼した自宅が映し出されていたからだ。 重要な書類も富市さんが持っていた上質なジャケットも、新品のソファーも、思い出とともにすべて消え去った。しかし、家族もペットもみんなが無事だった。一家はとても前向きだ。被災後、一家は貸家に住んでいるが、早くも元いた場所に家を建築することを計画している。2年の歳月がかかろうとも丸山さん一家は決してあきらめない。「頑張って―」。一家は全てを失った。しかし人生に対する前向きな姿勢は失っていない。【マイケル駒井、訳=吉田純子】
全焼した自宅の焼け跡にたたずむ丸山さん一家
Read this story in English: Click Here
Comments