徒然なるまんま
最近は暗い話や惨事、事故、災害などのニュースが多く、気分が滅入る。それで昨年はゆっくり流れ星でも見ようかなとか思ってた。忙しさにかまけてすっかり忘れてて、気がついたら時期を逃してた。 家から見える山々は雨が多かったとはいえ今は枯れ葉の茶色。眺めて気分が休まるほどでもない。やはり夜空一面の星でも眺めたいが、この時期は寒い。寒いし、街灯などがじゃまで満天の星とは言い難い。 若かりし頃、時々訪れた温泉場から見上げた星空はすごかった。そこは盆地みたいになっていたが、塩湖、動植物の保護区、砂丘、先に書いた温泉などが混在した場所で、結構広いのに定住者は数人といった場所。昔は岩塩の採掘などで栄えたらしい。 温泉とはいっても、お湯がわき出ているところに誰かが地面に穴を掘ってタイルを敷いて野外の簡易風呂場みたいなものを作ってた。もちろん無料、水着で入る。 ちょっとずれた。そこで湯に浸かりながら空を見上げると「なんだこれは!」というほどの星である。すぐ目に付く金星、火星、その他いろいろな星座が見られる。昔の人たちはこのような星を眺め、星の集まりに神話を重ね合わせていたのだなとか感傷に浸る。 雨が降り外に出る用事がない時は、窓の外の雨音を聞くのがいい。「しとしと」とか「ザーッ」、たまにカミナリ。なんとなくゆったりする。 さすがこの地で雪は無理だが、冬場には山頂が雪におおわれているのが見える。冬場だから空気はキーンと冷え切っているのが清々しい。といえば格好がいいが、実は寒さでブルブルしてる。今冬は雨が少ないせいか山々にはあまり雪が積もっていない。 引っ越ししてきた頃の斜め向かいの家にポプラの木があった。秋になると葉が黄色くなり風に揺れてカサカサと乾いた音がし、地面は落ち葉でおおわれる。見る分にはいいが、家の持ち主は掃除が大変だったのだろう、いつしか切り倒していた。「きれいだったのにね」と言ったら苦笑いされた。 こうしてみると、楽しい、ゆったりした生活はまわりを見回し、自分で見つければいいのだと気がついた。【徳永憲治】
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