性犯罪へ「NO イコール NO」
性犯罪について、女性が声を上げ始めた。セクハラ行為で告発されているハリウッドの大物プロデューサーに始まり、政界、マスコミへと一気に広がっている。 日本では今年5月、一人の女性が自身に起きた性犯罪について記者会見をし話題になった。会見当時は実名を伏せていたが、この程、伊藤詩織という本名で著書「ブラック・ボックス」(文藝春秋)を出版したという。出版関連のインタビュー記事からは、性暴力に対する日本社会の反応や風潮、被害者側の意識を変えたいという伊藤さんの思いが、まっすぐに伝わってくる。 女性への性暴力は特別な事ではなく、全くの日常だ。余程の被害でない限り女性は声を上げないし、上げられない。加害者は「余程の被害」にならない程度のところで犯行に及ぶ。卑劣だ。「女性の落ち度」を確認し、「合意があった」と伏線を張る。結果、女性は泣き寝入りを強いられる。 女性を代表して一つ言っておきたい。「やめて下さい」には文字通りの意味しかない。「NO イコール NO」だ。また、相手より優位にあるなどの愚かな理由で図々しくならないでもらいたい。何かしてしまう前に「勘違いしてませんか、ボク」と相手に問うてもらいたい。状況にもよりけりだが、合意の有無はその返事次第だ。 11月25日付の沖縄タイムスは、米軍の性犯罪についてこう報じている。「被害者が捜査終結まで協力を続けられなかった結果、容疑者が裁判を回避した事例が少なくとも3件あった」 ロサンゼルス郡の警察では、捜査の初めの段階で被害者へ謝意を述べる。「通報してくれたあなたの勇気のおかげで、同様の被害を避けられるかもしれない。本当にありがとう」この言葉は被害者に安心感を与える。「あなたに落ち度はない」と明確に告げられるため、どんなに酷い目に遭おうとも、勇気を持って通報した行動は正しかったという信念が生まれる。この安心感と信念があるからこそ、精神的苦痛を伴う捜査への協力や、長く続く裁判にも耐えられるのだ。 性被害者を取り巻く全ての現状が改善されるよう、声を上げていくことが大切だ。【麻生美重】
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