憎悪犯罪増加:「差別なくし垣根を超え団結を」
イスラム教徒への憎悪犯罪の増加を受け、宗教からくる差別をなくすよう訴えるLA市のガーセッティー市長(中央)と、LA地区の各宗教団体の代表者や市議メンバーら=13日
2日に発生したサンバナディーノの銃乱射事件から1週間以上が経過した13日、ロサンゼルス市のエリック・ガーセッティー市長をはじめ、サンバナディーノ市のキャリー・デービス市長、LA地区の各宗教団体の代表者らがLA市庁舎に集結した。集まった人々は犠牲者を追悼するとともに、テロに屈せず、宗教や人種、性別いずれの差別もなくし、宗教の垣根を超えて市民がともに団結していくよう呼び掛けた。【吉田純子、写真も】
銃乱射事件後、各地から寄せられた支援に感謝の言葉を述べるサンバナディーノ市のデービス市長
14人の命を奪った銃乱射事件の容疑者夫妻が、イスラム過激派の思想に影響され、犯行に及んだことを受け、全米各地ではイスラム教徒に対する暴行や嫌がらせなどの憎悪犯罪(ヘイトクライム)が相次いでいる。 LA地区も例外ではなく、これまでにイスラム教徒に対するヘイトクライムは21件報告されている。12日にはホーソン市の2カ所のモスク(イスラム礼拝所)が落書き被害にあい、うち1カ所では偽物の手りゅう弾も発見された。2件に関しては連邦捜査局(FBI)もヘイトクライムとして捜査に乗り出している。 11日にはリバーサイド郡コーチュラのモスクで火災が発生。火炎瓶が投げ込まれたとの目撃情報もあり当局は捜査を進めていたが、13日に容疑者の男(23)が逮捕された。 集会にはイスラム教、キリスト教、ユダヤ教などLA地区で活動する各宗教団体の代表者とメンバーらが出席し、宗教からくる差別や偏見をなくすよう訴えた。 南カリフォルニア・シーア派イスラム教徒協議会会長のSayed Moustafa Al- Qazwini氏は多発するイスラム教徒ヘのヘイトクライムを受け、「過激派組織『イスラム国(IS)』はわれわれの宗教とはまったく別の存在。われわれとは一切関係のないテロリスト集団である」と断言。パリやサンバナディーノで起こった一連のテロ行為を強く非難した。 ガーセッティーLA市長は、事件後のヘイトクライムの増加を受け、「多人種が集まるLAにはさまざまな宗教を信仰する人々が暮らしている。イスラム教徒でもユダヤ教徒、キリスト教徒、仏教徒そのほかのさまざまな宗教でも、それぞれの信仰を尊重すべきだ。宗教をもとにした差別や偏見は断じて許されない行為である」と強調し、市民に対し冷静な対応を求め、LA市も決してテロ行為に屈しない姿勢を示した。 サンバナディーノ市のデービス市長もこの日姿を見せた。事件後、遺族を支援するための募金運動を立ち上げた同市長は、多くの人から寄せられた支援に感謝の言葉を述べるとともに、犠牲者の冥福を祈った。
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